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名もなく、誰にも知られず、隠れていた!:醜いランに毒キノコ (BBC-News, Dec 18, 2020)

Gastrodia agnicellus

 「名もなき草」と言えば、それは取るに足らない、何の役に立つとも思えない、道端や庭の片隅にひっそりと生える雑草のこと。しかし、それとて、自然界の種(しゅ)の多様性 (diversity)を構成する一部であり、人間には理解できない「未知の力」を秘めているのかも知れない。

 

 地球に存在する生命体の一つが、この世から永遠に消えたなら、生命の組織空間にポッカリと穴があいて、そこから亀裂が縦横に走り、せっかく数十億年の月日を掛けてつくり上げられた豊かな自然界が、次第に崩壊していくようでならない。

 

 だから、今、地球上で生きる全ての生命体を認知して、その特徴、働き、生息環境を確認することが大切であり、絶滅の危機に瀕する種(しゅ)については、その原因を探り、適切な保護対策が講じられるべきだ。

 

 その点からすると、実は、「名もない草」と一言で片付けられなくなる。人類にとって、かけがえのない仲間であるからだ。たとえ、膨大な資金を費やして、地球から遠く遠く離れた、どこかの宇宙の小惑星で生命を発見することに成功したとしても、そんなものは、人類の仲間と呼べないはずだ。

A rakotonasoloi

 これまで誰にも知られず、地球上で密かに生き続ける、名もない生命体は、まだまだたくさんあるという。とくに新種とおぼしき植物、菌類 (fungi)が発見されると、その形態、DNAが精査される。そして、新種との判定が下ると、他の種(しゅ)と識別するために、名前(学術名)を付けなければならない。

 

 さて、「The Royal Botanic  Gardens, Kew (キュー王立植物園) 」のDr Martin Cheekによると、『2020年は、信じがたいほど、たくさんの新種が発見された年』だったという。

 Kew植物園が新種と判定した植物・菌類に限っても、156種にのぼる。その内、27種はキノコ類(菌類)だった。

 なお、UKでは、以下の場所で新種のキノコ計 6種が発見されている。全てが繁殖力の強い「Cortiariaceae (フウセンタケ科)」の「Cortinarius( フウセンタケ属)」に属する「毒キノコ (toadstool)」だった。

 

・Heathrow Airport:1種

・Devil’s Dyke:1種

・Barrow-in-Furness:1種

・Caithness:1種

・Black Wood of Rannoch:2種

 

 それらのキノコは毒キノコであっても、oak (オーク)、beech (橅)、birch (樺)、pine (松)などの木々と、調和の取れた関係にあり、キノコは水分と栄養分の吸収に重要な役割を果たしているという。

Cortinarius heatherae

 さらに驚くことは、新種の約1/3 を「orchids (ラン)」が占めたことだ。

 

・New Guinea:19種

・Madagascar:1種 (世界でもっとも醜いランと判定)

 

 また、ランの他にも、新種のスイート・ポテト、パイナップル、ブルーベリーの仲間や薬草が、それぞれペルー、ナンビア、ブラジル、ニューギニアザンビアモザンビークの国境の森などで発見されている。

Acanthostachys calcicola

 このことは、新種の植物やキノコを探すためには、なにも Amazonや Africaの奥地にまで出向くことはないことを示している。

 なお、世界全体で毎年、新種と認定される植物・菌類(キノコ類)の仲間は約2,000種に及ぶという。

Dendrobium aurifex

おわりに:ある人は夜ごと大型望遠鏡で彗星を探し、また、ある人は海に潜って珍種の魚を追いかける。さらに、プラント・ハンターと称してジャングルの草の根を掻き分け、新種の薬草やランの発見に努める人もいる。その最大の目的は、科学の歴史、教科書に自分の名前を残すことにあるとか。純粋な知の世界(科学) に、エゴや損得勘定が入ると、純粋が純粋でなくなる。

        (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com