平均寿命が22年も違うWales:その原因はどこに? (BBC-News, April 5, 2018)
これほど、地域によって「平均寿命 (average life expectancy)」の違う国も他に知らない。平均寿命は、年齢別の死亡率データから、生まれたばかりの赤ちゃんの寿命を推定した値だ。その値が、Walesの女性では、住んでいる地域によって大きく異なり、最低 72.6歳、最高 94.6歳。すなわち、生存可能な年月が 22年も違う。平均寿命94.6歳を記録した地区は、18世紀から温泉付きの保養地として人気の高い町Llandridid Wells の「Lhandod North」。
逆に、平均寿命の最も短い地区は、Englandとの国境の村 Gwyersylltの「Gwyersyllt West (グエルシルト・ウエスト)」。19世紀、石炭が採掘された山あいの地だ。
「Public Health Wales (ウェールズ公衆衛生局)」の Dr Chrissie Pickins によると、Walesでは、「人生で巡り会うチャンス (life chance)が不公平」なことは周知の事実。
そのチャンスとは、
・給与所得
・現金収入の手立て
・収入の高い仕事に就ける可能性
・家族、友人、コミュニティとの絆
さらに、Dr Pickinsが指摘するように、子どもの一生は、生まれる前のお母さんの健康にも掛かっている。
"Early life in the womb can have a rally profound effect on your health experience in later life and that's why places like Wrexham and a whole rage of other places are really trying to focus on those first hours and days and getting those right."
[ お母さんのお腹にいるときの、赤ちゃんの初期の成育状態が、誕生後の健康に計り知れないほどの影響を与える。したがって、Walesでは Wrexhamをはじめ、他の全て地区でも、常々、まず第一にこの点に注意を払い、状況を正確に把握するように務めている。]
日本に限らず、どの先進国でも、過疎化・高齢化が進み、交通が不便で、所得レベルが低く、おまけに冬の寒さが厳しい地域では、平均寿命が短くなる傾向があるようだ。これでは、若ものが、そのような故郷を離れて、「life chance」の高い都会に移り住むのは、ごく自然の成り行きのように思われる。
(写真は添付のBBC Newsから引用)