野菜メニュー:食べてもらうにはハチャメチャ・ネーミング! (BBC-Health, June 13, 2017)
[ 野菜を沢山食べると体に良いことは、ほとんど誰でも知っている。でも、それを実行している人はごくわずかだ。]
"Although most of us know that we should eat plenty of veg, too few of us do it."
WHO (世界保健機関) は少なくとも 1 日 400gのフルーツ・野菜を食べるようにと推奨しているが、この WHO基準を満たしているイギリス人 (UK adults )は、約25%に過ぎない。
では、どうやったら、もっと野菜を食べてもらうことができるか。
Stanford 大学の Mr Brad Turnwald らの心理学研究グループは、大学の食堂 (dining hall) でユニークな実験を「autumn academic term (秋学期46日間)」に実施した。
毎日 600人ほどの学生が、学生食堂を利用している。その昼食に提供する野菜メニューの内容を変えずに、メニューのラベル表示だけ変えると、学生のメニュー選択に違いが現われるのだろうか。これが実験のねらいだ。
なお、実験では、野菜 7品目 beetroot, butternut squash (ニホンカボチャ), carrot, corn, courgette (ズッキーニ), green beans, sweet potato を ローテーションで変えて、メニューにバラエティを持たせた。
ただし、まったく同じ内容の野菜メニューでも、ラベルは毎日、ランダムに抽出された次のいずれかの「categories (カテテゴリー)」に分類されるラベルに張り替えた。
1. basic : 野菜の品目のみ記載 (例えば『キャロット』)
2. healthy restrictive: 特定原材料を記載 (砂糖不使用シトラス・ドレッシング・キャロット)
3. health positive : 栄養価を強調 (利口な選択、ビタミンCシトラス・キャロット)
4. indulgent :ハチャメチャラベル (ひねくれ味のシトラス・ビューレ・キャロット)
その結果だ。
学生が最もよく野菜を食べたのは、ラベル表示が 4の「indulgent(ハチャメチャ)」タイプのときだ。学生は「seductive names (魅惑的なメニュー)」に惑わされ、野菜の品目だけを記載したときに比べて 25%増、特定の原材料を記載したラベルに比べて 41%増、栄養価を強調したラベルに比べて 35%増だった。なお、研究の詳細は「JAMA International Medicine」に発表された。
"When most people are making a dining decision, they are motivated by taste."
"And studies show that people tend to think of healthier options as less tasty for some reason."
[ たいていの人がメニューを選ぶとき、その動機となるのは味。]
[ ところが、今回の研究結果が示すように、なぜか、人には健康的なメニューに対して、味が期待できないと思う傾向がある。]
そこで、Bournemouth 大学の Heater Hartwell 教授は「Veg by stealth (こっそり野菜を食べさせる)」ことを推奨し、次のように述べる。
"Choice is a really complex thing. But this study suggests that giving vegetables an indulgent tag can help raise their hierarchy."
[ メニューの選択は、複雑な心理学上の問題だ。しかし、この研究は、野菜メニューにハチャメチャな名前のタグを付けると、その消費ランクが上がることを示唆している。]
ここで「stealth」とは、「stealth fighter (ステルス戦闘機)」のステルスだ。野菜を食べさせるのに、「こうまでしなければならないのか」と思うのは、著者だけか。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)