夜、眠れないほど痛い腰痛:その痛みから解放されるために! (BBC-Health, May 29, 2017)
つらい、痛いと言って、これほど苦しいものものはない。一生の間に、80%の人が経験すると言われる腰痛 (back pain) のことだ。
BBC One の人気ドキュメンタリー番組「Doctor in the House」を担当するDr Rangan Chatterjeeは「腰痛」に見舞われたとき、どうすれば良いかを教えてくれる。
その要点をまとめた。
1.Self-limiting:一過性
"Most cases of back pain are self-limiting and probably go within a few weeks."
[ ほとんどの腰痛は一過性(いっかせい)で、数週間もすれば、ほぼ間違いなく痛みが消える。]
2.NICE Guidance:NICE 治療ガイダンス
「The International Institute for Health and Care Excellence, NICE (英国国立医療機構)」は、腰痛患者に向けたアドバイスとして次の2点を挙げる。
・ To continue with normal activities as much as possible.
[ できるだけ、いつものように体を動かすこと。]
・ A combination of approaches may be necessary to treat back pain - exercise, psychological therapies as well as manipulative therapy.
[ 腰痛には、整体治療、運動、心理療法の組み合わせが必要。]
3.The cause of back pain:腰痛の原因
腰痛には「ギックリ腰(acute back pain)」のように、突然、痛みに襲われるものもあれば、なかなか痛みが治まらない「慢性腰痛 (chronic back pain)」もある。
"The key to managing back pain is understand what the cause are for you."
" Different patients have different triggers."
[ 腰痛治療のポイントは、腰痛の原因を知ること。(中腰で重い荷物を持ち上げた等々)]
[ 腰痛の原因は、患者それぞれによって違うもの。]
ただし、痛みがなかなか引かないときは、注意が必要だ。
"It is always important to rule out special causes such as cancer, infections and fractions, so seek from a medical professional if you're concerned."
[ 常に大事なことは、腰痛の原因が、ガン、感染症、骨折などの「特異な原因」ではないことを確認すること。気になるときには、専門医の診察を受けるように。]
しかし、ありがたいことに (thankfully)、大抵の腰痛の原因は「非特異性 (non-specific)」で、悪質 (sinister) なものでないから、安心を。
4.Doctors don't recognize:整形外科医が原因を見抜けない
元運動選手(a former athlete)のMark (42歳)は、20年以上にわたって慢性腰痛 (chronic back pain) に苦しみ、痛みがひどいときには入院を繰り返した。それでも、腰痛の原因は、すっと分からずじまいだった。
ところが「movement therapist (運動障害セラピスト) の診断を受けたところ、立ち所に、Markの腰痛には子どもの頃に足に受けたケガが関与していることを見破ったという。
これは私見だが、整形外科医が、形式的な数分間の問診とX線写真、それに古い医療知識だけに頼っていては、患者ごとに異なる多様な腰痛の原因を突き止め、適切な治療を施せないのは無理もないことか。
5.A combination approach:ストレス解消を含めた複合的な治療
腰痛で動けなくなると、外に出て働くのはとても無理。腰痛のために仕事ができなくなっている人の労働時間が、イギリス全体では年間約100万日。その経済コストは £12 bn ( 約 1兆 7千億円 ) にのぼる。
腰痛が長引くと、当然、本人は家計や失業が気になる。その結果、不眠 (insomnia) に陥って、大変なストレスを抱えてしまう。ストレスは腰痛の痛みを増幅し、治るものも治らなくなる。
このため、Dr Chatterjeeは、そのストレスの解消 (de-stress) 策として、音楽鑑賞や瞑想 (meditation)、それに、ゆったりと体をほぐす太極拳 (Tai Chi) を勧める。
6.Vitamin D:ビタミン Dの摂取
骨を丈夫にするためにはビタミン Dが欠かせない。普通に日光に当たっている人は、ほとんど心配ないとされるが、魚・卵が嫌いな人、肌の黒い人はビタミンが不足がちになるので注意が必要だ。
7.Simple tips for the managing:ちょっとの工夫で痛みが楽に
① Get up regularly from your desk (時間を決めて、時々机から離れるように)
② Prioritise active relaxation (気晴らしに体を動かすことが大事)
③ Find a regular form of activity that you enjoy (今後、長く楽しんで続けられる運動を)
④ Try and be as active as possible (歩くなど、できるだけ体を動かすように)
8.その他
蛇足に近いが、著者の経験から一言。腰痛対策には、何よりも日頃の予防が大切だ。
・中腰の姿勢に気をつけること。拾い上げ動作は、足を曲げ、腰を落とした姿勢で。
・体の柔軟性を保つためにも、毎日のラジオ体操がお勧め。
・余裕があれば腹筋運動を。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)