コーヒー(珈琲)の発がん性:25年間の疑い晴れる (BBC-Health, June 15, 2016)
良寛の戒めとする少々「さとりくさき話」で恐縮だが、誰でも失敗や間違いはする。しかし、それを避けようと、常に注意し、謙虚な姿勢で行動することが、物事を行なうに当たって、何よりも大切であることは言うまでもない。
「The World Health Organization, WHO (世界保健機関)」の外部組織「The International Agency for Research on Cancer, IARC (国際ガン研究機関)」のことだ。
IARCは、1991年から 2016年までの 25年間、コーヒーには「possibly carcinogenic (発ガン性の可能性あり)」と判断し、発ガン性リスク評価を「Category 2B」に張り付けてきた。
ところが、ガン医療の専門家 25 名から成る調査チームが、これまで発表された数百編にのぼる研究報告を精査し、発ガン性の再評価を実施したところ、コーヒーの発ガン性については、「証拠不十分、お咎 (とが) め無し」の判決が出た。
ただし、65℃ 以上の熱いコーヒーをすすると、食道ガン (oesophageal cancer) のリスクが高くなるので注意は必要という。
なお、IARC によると、発ガン性リスクは以下の 5 グループに分類される。
・Category 1:definitely carcinogenic (発ガン性が確信できる) [タバコ、酒、加工肉]
・Category 2A:probably carcinogenic (恐らく発ガン性がある) [紫外線、臭化ビニル]
・Category 2B:possibly carcinogenic (発ガン性があるかもしれない) [鉛、わらび]
・Category 3:not classifiable (分類できない) [アクリル繊維、石炭粉塵]
・Category 4:no risk (発ガン性リスクがない)
なお、BBCが指摘するように、発ガン性リスクの Category のレベルは、必ずしもガンの罹患率の高さを表わすものではない。リスクのあるものを摂取しても、人によってはガンに罹らないことも事実。しかし、自ら進んで、口にすべきものでもない。
また、今回、IARCは、コーヒーには肝臓 (liver) ガンや子宮 (womb) ガンの発症リスクを低減させる効果があると、初めて認めた。
この分野に興味のある方には、コーヒーの医療学的効果に関する研究結果をまとめた次の一冊を薦める。
野田光彦 編著:コーヒーの医学、日本評論社 (2010)
(写真は添付のBBC Newsから引用)