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恋に破れて―:心(脳)もハート(心臓)もキズついてボロボロに! (BBC-Health, Mar 5, 2019)

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 失恋はショックだ。親しい人を亡くしても、心はひどく落ち込む。こんなとき、「chest pain (胸が痛み)」や「breathlessness (息切れ)」を感じるのは、なぜ。

 こんな症状を「broken heart syndrome (ブロークン・ハート症候群)」と言う。心臓の左心房の心尖部に一過性の収縮不全が発生して、心臓が蛸壺 (たこつぼ)に似た形となるため、「takotsubo syndrome (たこつぼ症候群)」または「takotsubo cardiomyopathy (たこつぼ心筋症)」とも呼ばれる。
 数週間から数ヶ月で、心臓はもとの状態に回復するが、症状が悪化して致命的になることもある。激しく失恋すると、本当に死んでしまうこともあるのだ。

 UKで、この疾患に罹る患者数は推定2,500人/年。どうして、心のショックが、これほどまでに心臓に影響を与えるのか。その原因は、よく分かっていない。
 しかし、専門家の間では、「adrenaline (アドレナリン)」などのストレス・ホルモンが過剰に分泌される結果との見方が有力。

 そこで、「University of Hospital Zurich (チューリッヒ医科大学)」のDr Jelena Ghadriらの研究グループは、「broken heart syndrome」患者の脳をMRIスキャンで詳しく調べ、正常な人の脳と比べた。
 すると、患者の脳では、感情をコントロールする部位と、心拍数などの無意識に反応する部位との相互連絡に、不具合が生じていることを突き止めた。これが原因となって、ストレスに十分に対応できていない恐れがあるという。(詳細は「European Heart Journal」に発表。)

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 ただし、Dr Ghadriらの研究では、「broken heart syndrome」に罹患する以前の患者の脳と、罹患した後の脳を比較することができなかったため、脳神経組織間のコミュニケーション欠陥が心臓にダメージを与えているのか、あるいは逆に、心臓に受けたダメージが脳神経組織に不具合を起こしているのかは不明。それにしても、とにかく、両者が密接に関連していることは確かだ。

むすび:「外からの刺激に対して敏感 (susceptible)」で、「繊細 (delicate)」で「壊れやすい (fragile)」もの。それが、人の心と体だ。心の受けたキズは、心臓までダメージを与える。
でも、どんな心のキズであっても、忘れてしまうのが一番。クヨクヨしてもはじまらない。さあ、サイクリングにでも出かけよう。
                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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即効性の抗うつ薬「エスケタミン」:スプレー式点鼻薬がUSで認可 (BBC-News, Mar 6, 2019)

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 世界保健機関WHOによると、「うつ病(depression)」で苦しむ人は世界で約3億人。鬱はうつでも特にやっかいなのは、抗うつ薬が効かない「treatment-resistant depression (治療抵抗性うつ病)」。これに罹患する患者数は、USだけで推定740万人。普通の抗うつ薬が効かないため、「suicidal thoughts (自殺念慮)」にさいなまされる。

 WHOの統計では、15 - 29歳の若ものの死亡原因の第2位に自殺が位置する。なお、2017年、USで自殺で命を落とした人(自殺率)は、人口10万人当たり14人と、過去50年間で最悪を記録した。(ちなみに、日本では自殺率がUSの数倍高い地域も数多くある。)

 これまで、うつ病には、SSR抗うつ薬「Fluoxetine (プルオキセチン)」、商品名「Prozac (プロザック)」などが処方されて来た。しかし、この薬が1988年に世に出てから、それ以降のこの数十年間、画期的な抗うつ薬が開発されることはなかった。

 「Prozac」はじめ、従来型抗うつ薬のほとんどは、脳内の神経伝達物質「serotomin (セロトミン)」の濃度を高めて、神経細胞間の連絡をスムーズにし、うつ病の症状を緩和する作用がある。そのセロトミンは、気分、感情、睡眠のコントロールに深く関わる神経伝達物質だ。
 しかし、従来型の抗うつ薬は、服用しても直ぐに効果が現われることがなく、人によっては数週間あるいは数ヶ月も掛かることもある。もちろん、その間、ずっと、抗うつ薬を飲み続ける必要があった。

 そして、散々、副作用に悩まされたあげく、数年が経過して、ようやく投与した抗うつ薬が効かないと診断されると、精神科医は患者の耳元で、それとなくささやく。『電気ショック療法 (electroshock therapy) がありますよ。これで気分をスッキリさせませんか』と。けれども、この療法は「persistent memory loss (永続的記憶喪失)」、つまり、これまでの記憶が一瞬にして、永久に吹っ飛んでしまうリスクがある。
 多くのうつ病患者が、崖っぷちに追い立てられているのが現状だ。

 ところが、ここに来てようやく、これまでとは、まったく違う「抗うつ薬」が登場した。「Janssen Pharmaceutical Company (ヤンセン・ファーマ(株))」が開発した「Esketamine (エスケタミン)」、商品名「Spravato (スプラヴァート)」だ。
 この度、「The Food and Drug Administration (アメリカ食品・医療局FDA」の諮問委員会で、販売認可が下りたという。

 「Spravato」は「nasal spray (スプレー式点鼻薬)」。鼻腔内から血液に吸収されると、24時間以内に、患者の気分がスッキリする優れものだ。
 この薬は、「Prozac」と違って、脳内の神経伝達物質「glutamate (グルタミン酸塩)」に作用する。この神経伝達物質は学習、記憶、睡眠などに深く関与し、「normal brain function(正常な脳機能)」に重要な働きをしている。

 ただし、「Spravato」には副作用もある。自殺念慮や「dissociation (性格の解離)」を引き起こすこともある。したがって、この薬を使用した後、少なくとも 2時間は、患者の要観察が欠かせないという。
 専門家の間では、強い副作用が現われることに加えて、長期間使用した際の健康に与える影響が十分に調査されていないこと、薬物依存や脱法ドラグのリスクなどを危惧する声も挙がっている。

 そうは言っても、うつ病に苦しむ大勢の人を目の前にして、医者はただ手をこまねいて居るわけにはいかないだろう。うつ病の発症メカニズムが十分に解明され、その根本的な治療法が確立されるまで、藁(わら)にもすがりたい患者にとって、即効性があり、効果抜群の「Spravato」は「potential therapy (可能性の高い治療法)」に違いない。

 なお、この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「The Guardian」の」記事も参照した。記して謝意を表したい。

The Guardian: March 5, 2019
FDA allows treatment of depression with club drug's cousin

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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ケチャップは元もと塩辛い?:メーカー「Kraft Heinz 」の株価暴落! (BBC-Business, Feb 22, 2019)

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 アメリカ人は、ハンバーガーにトマトケチャップ (ketchup)をたっぷりと塗りたくって、がぶり。これがたまらないと豪語する人も少なくない。しかし、日本人は、何もそこまで、米国式にこだわることもないのではと思う。

 その「ketchup」の語源は、中国広東語「ketsiap」が有力。マレー語で「kechap」と呼び、「魚醤(ぎょしょう)」の意味だった。これが英語に取り込まれ、活字として初出したのが1711年。それほど古い言葉ではない。
 しかし、アメリカの食品会社が大々的にトマトケチャップを製造し、これを世界中に販売したお陰で、「ketchup 」と言えば「tomato ketchup」を指すようになった。

 さて、ケチャップの大手メーカーで、世界5位の食品販売会社「Kraft Heinz」の株価が27%も暴落した。この会社は、2015年に「Kraft Food」と「HJ Heinz」が合併(merger)してできた会社だった。現在、「Berkshire」と「The 3G Capital」の2社で株式の77%を保有し、実質的に、その経営を支配下に納める。「The 3G Capital」は「costt-cutting approach(コスト削減策)」を経営に取り入れた「investment firm(投資会社)」だ。

 それなのに、2018年の「Kraft Heinz」の決算では$10.2bn (約1兆円)の赤字を出した。この業績悪化は、USで販売促進をねらった商品の値下げが裏目に出た形だ。
 ただし、以下のように、消費動向が変化する中で、どのメーカーも厳しい競争に曝されていることは事実。

・less expensive:低価格商品
・retailer brands:自主企画商品
・growing consumer preference for non-processed food:消費者の加工食品離れ

 「Kraft Heinz」は、業績回復を目指して、「ketchup」などから人気の高い「Philadelphia creamed cheese」の販売に軸足を移し、さらに、この春には自社商品の値上げも計画している。

 会社の純利益が目減りしたとの理由で、値上げに踏み切る。この経営策が「吉」と出るか、「凶」と出るか、米国式経営戦略のお手並み拝見。大いに興味のあるところだ。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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竜宮のカメさん:今度は残酷、恩知らずなことはしないで! (BBC-News, Feb 8, 2019)

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 これはカメを助けた現実のはなし。しかもスケールが大きい。海ガメを助けたのは、女の子のMs Amelia Luck。まるで「小さな幸運の女神 (Little Lady luck)」だっった。

 この少女は、昨年の9月、CornwallのLostwithiel (ロストウィジエル)に住むThe Redheads (レッドヘッド家)の家族6人と一緒に、全長63ftの「Ketch (ケッチ):小型の2本マストの帆船」「The Atlantic leg (アトランティック・レグ号)」に乗り込み、Fowey (フォーウィ)の港から、2年間の世界一周の航海に出た。

 イベリア半島沖を南下し、アフリカ大陸北西沖の「Gran Canaria (グラン・カナリア島)」から「Cope Verde (カーボベルデ)」に向かって航海を進めていた。周りの海の至る所に、プラスチックのゴミが漂っていた。
 すると、Ms Luckの目が目にしたのは、海面に浮かぶ一匹のカメ。はじめ、このカメはクラゲを食べているのかと思ったという。しかし、近づいてよく見ると、「plastic sack (ポリ袋)」に絡まり、動けないでいる。しかも、前足には大きな裂傷があった。

 このカメを気の毒に思ってか、たくさんのカメやイルカも近づいては、また去って行く。
 そこで、みんなで、このポリ袋に絡まったカメを帆船の甲板に引き上げて、ゴミを切りほどき、カメを海に戻してやった。

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 Exeter大学の調査によると、毎年、数百匹の「marine turtles (海カメ)」が海中や海岸のゴミにからまって死んでいる。また、カメは、ほんの小さなプラスチック片を呑み込んでも、死んでしまうことがあるという。

 それにしても、危うく命を失いかけたカメは、Ms Luckに助けてもらえるなんて、本当に「Lucky」だった。
 Ms Luckには、竜宮の「玉手箱」など願い下げだ。命の恩人に対し、絶対開けるななどと、不可能なことを言い添えて、玉手箱とは名ばかりの「悪魔の箱」を渡すなんて、「御伽草子」の「浦島太郎」の話は、好きになれない。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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TVの魔力が脳みそを腐らす?:いや、言語記憶を消し去る! (BBC-Health, Feb 28, 2019)

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  一人ぼっちの暮らしは、寂しいに違いない。朝起きたら、まずTVのスイッチを入れる。来客があっても、電話がなっても、TVは付けっぱなし。
 そんなふうに、人知れず、孤独と戦っている人に、『食事のときぐらい、あるいは人と話しをするときぐらいTVを消して』とは、なかなか言いにくい。
 TVは情報源や娯楽の道具でもあるが、話し相手のいない人にとっては、居間を賑やかにしてくれる「見せかけのエンターテイメント」だ。もちろん、そこには落とし穴もある。

 さて、人間は加齢に伴って誰でも記憶力が落ちる。しかし、TVには、その記憶力の低下をさらに加速する魔力があった。
 University College Londonの Dr Daisy Fancourtらの研究グループが、50歳以上の男女3,500人を対象にして実施した6年間に及ぶ研究調査によると、1日 3時間半以上TVを観ていると、「verbal memory (言語記憶)」が8% - 10%も低下した。(研究結果の詳細は「Scientific Reports」に発表。)

 とくに、問題なのは「soap opera (メロドラマ)。観ている人が、ドラマの登場人物の感情に引き込まれてしまう。すると、「Cognitive stress (認知ストレス)」が発生し、言語記憶をダメにするという。
 どうやら、TVを「ダラダラ観ている (couch potatoes)」と、読書にも運動にも、意欲をなくして、脳は、ひたすら受け身になるようだ。これでは、脳は腐らないまでも、まともな思考力を失ってしまう。
 
 TV。あれは、人の心を自在に操(あやつ)る道具、権力者の声を大きく響かせる拡声器の側面もあるだろう。4Kだ 8K だと踊らされ、浮かれて、心まで奪われてはいけない。 
                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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豪州のヘビの大冒険:ズック靴に隠れてScotlandへ飛行機旅行! (BBC-News, Feb 27, 2019)

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 Scotland「Bridege of Allan (ブリッジ・オブ・アーラン)」在住の Ms Moir Boxallは、オーストラリア「Quennsland (クイーンズランド州) 」北部東海岸の都市「Mackay (マッケイ)」に住む娘の家を訪ねて、そこでしばらく滞在した。

 ある朝早く、ガチャンという音で目が覚めた。Ms Boxallは音がした窓辺に行ってみると、植木鉢が床に落ちて砕けていた。そして、一匹のヘビが床の上を這っていた。Ms Boxallは急いで娘を呼びに出て、再び寝室に戻ってきたときには、もう、ヘビは姿を消していた。

 次の朝、ヘビの生け捕り専門家を呼んで、きのうのヘビを探してもらったが、どこを探してもヘビは見つからず、きっと家の外に逃げたと思ったという。
 その後、3週間ほど娘と一緒に過ごした後、Ms Boxallは飛行機に乗り、Scotlandの我が家に戻った。

 そして、旅行スーツを開け、オーストラリアで買ったズック靴 (canvas shoes)を取り出そうとした。しかし、その中に何か「ツルツルした (slithery)」ものがある。こん包用の「プチプチ (buble wrap)」に見えた。娘がからかってズック靴の中に入れたのかと思ったという。
 ところが、これを引っ張り出そうとすると、なんと動いたのだ。あまりにもびっくりして、どうやって 2階から駆け下りたか分からない。とにかく、ズック靴を持って下に降りると、中からヘビが這い出てきた。全長 2ft  (約60cm)の「Sptted python (スポッティド・パイソン)」だった。それも、このヘビはニシキヘビの仲間でも、まだ赤ちゃんヘビ。
 
 Ms Boxallは、一旦、驚きはしたものの、ヘビがかわいそうにも思うという。

"The poor thing has come from its native country to this cold place."
"I feel sorry for it."
"But I still dont't like them."

[ 生まれ故郷からこの寒い地にやって来たなんて、かわいそうなやつよ。]
[ ヘビちゃんが気の毒だわ。]
[ でも、とても好きになれないけど。]

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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その土・日の朝ねぼう!:1週間分の寝だめのつもり? (BBC-Health, Feb 28, 2019)

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 ナポレオンが3時間しか眠らなかったといって、睡眠を十分にとらないとどうなるか。
 イライラして、ナポレオンのように、他人のことなどに耳を傾けず、お腹が出っ張り、糖尿病の発症リスクが高まる。
 では、1週間のうち、平日は忙しく(パソコン・スマホ画面を見続けて)、睡眠が十分に取れない人が、土・日の休日に、好きなだけ「朝ねぼう (lie-ins)」して、1週間分の寝だめをすると、「睡眠不足 (sleep deprivation)」が原因の「deteriorating metabolic health (代謝異常)」を正常に戻すことができるか。

 この問題の解明に、Colorado Boulder大学の Dr Chris Depnerらの研究グループが取り組んだ。被験者36名は、実験開始から3夜だけ、みな同じように研究室に寝泊まりして、体重・血液検査などの健康チェックを受けた。
 その後、次の3グループに分かれた。

・Group A:9夜連続して睡眠時間5時間に制限
・Group B:平日は睡眠5時間、土・日は好きなだけ朝ねぼう (9日間)
・Group C:9夜、睡眠9時間 (対照グループ)

その結果、睡眠不足状態のA, B グループには

・体重が平均 2.2lbs (約1kg)増えた。
・「インスリン感受性 (insulin sensitivity)」が低下し、血糖値をコントロールする働きが悪くなった。
・とくに、土・日に朝ねぼうが許されたBグループでは、インスリン感受性が 9% - 27%も減少した。(Aグループは13%減)
・Bグループの土・日の朝ねぼうは、好きなだけと言っても、プラス 66分 (平均値)だった。

結論:平日の睡眠不足に、土・日の寝だめの効果なし。就寝前にはスマホ・パソコンを使用せず、また、規則正しい就寝・起床で、十分な睡眠をとるのが一番。

 なお、Dr Depnerらの研究の詳細は、医学雑誌「Current Biology」に発表された。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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