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島国イギリスの津波対策:音響重力波を検知せよ! (BBC-News, January 24, 2018)

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 このところ、イギリスで怖いものと言えば、差し詰め、「Terror, floods, fire and tsunami (テロに洪水、火事、津波)」か。
 異常な思い込みの人間がテロを起こし、異常気象で洪水に見舞われ、遅れた防火対策のせいで都市部の住民はアパート火災に怯える。それにイギリスは日本と同様、海で囲まれた国。この 10数年間で世界で発生した幾つかの巨大な津波 (tsunami))は、イギリスにとっても、決して「対岸の火事」と、のんびりしていられない。
 2011年の東日本大震災では 18,000人以上、2004年、インド洋のスマトラ島沖地震で発生した津波では、インド洋沿岸、東アフリカの国々の住民約 230,000人がその貴い命を落とした。

 現在、日本を含む多くの国が、「津波警報システム (early-warning system)」として主に採用しているのはブイ式津波観測計。これは圧力センサーで海水面の変化を測定する測定器だ。
 ところが、Walesの Cardiff大学の Dr Usama Kadriらの数学者グループが津波襲来予報に活用したのは、地震発生後に海面下を音速で伝搬する「acoustic gravity waves (音響重力波)」。その重力波の伝搬速度は、海面を走る津波よりも 10倍以上速い。さらに津波と違って、地震源からあらゆる方向に伝わる。

 Dr Kadriらは、この音響重力波を水中深く設置した「hydrophones (水中聴音器)」で、津波が沿岸に押し寄せる前に検知するシステムを考案した。音響重力波データをすばやく検知できれば、そのデータから地震源 (location)、地震継続時間 (duration)、地震の規模 (dimensions) などが計算され、そこからさらに地震後によって引き起こされる津波の進行方向 (orientation)、津波の速度 (speed) が解析できるという。
 Dr Kadriらの目標は、音響重力波の検知後、数分内で津波警報を発表できるようにすること。
 なお、音響重力波解析の詳細は「Fluid Mechanics」に発表された。
 
 さて結論:
 月並みな言葉 (hackneyed phrases) を持ち出して気が引けるが、「備えあれば憂いなし (Be prepared and have no regrets.)」は、やはり大切な警句だ。

                     (写真は添付のBBC Newsから引用)

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「ものづくり」の原点はカラスにあった?:不正のない、優れた技術 (BBC-Science & Environment, January 22, 2018)

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 カラス (crows) の鳴き声は日本語も英語もほとんど同じで、「caw caw (カア カア)」。また日本語の「カラス」も英語の「crows」も、その鳴き声の擬声語(onomatopoeia) から派生した語だ。

 カラスの飛翔力には定評がある。さらに、その頭脳も、鳥の仲間では、ずば抜けている。とりわけ、「New Caledonian crows (カレドニアガラス)」は、巧妙な「ものづくり(tool-manufacturing)をやってのける。
   これを発見したのは Scotlandの「University of St Andrews (セント・アンドルーズ大学)」の Christian Rutz教授らの研究グループ。「New Caledonia (ニューカレドニア)」は、オーストラリア大陸の東方約 1,200kmの南太平洋に浮かぶ島々で、フランスの海外領土だ。

 New Caledoniaの「Grande-Terre Island (グランドテール島)」に生息するカレドニアガラスは、親から手ほどきを受けたわけでもないのに、「Spontaneously (ごく自然に)」小枝を加工して、樹の孔の奥に隠れた小さな虫やクモを釣り上げる。つまり「hooked stick tools (釣り竿)」作りの「technology (技術)」を完成させていたのだ。

 その竿は、次の「multi-stage process (複数の作業工程)」を経て作り上げられる。

1) detachment of a branch (小枝を折る)
2) sculpting of a treatment hook from the nodal joint (節付きのフックを作る)
3) additional adjustments (仕上げ作業)
・length trimming (竿の長さをそろえる)
shaft bending (竿に反りを付ける)
・bark stripping (竿の皮を剥ぐ)

 そして、できあがった釣り竿を使って、虫を釣り上げる技は、「proficient (名人芸)」。知能指数の高いと言われるチンパンジーでさえ、とても敵うものではない。

 Rutz教授らの実験によると、フック(釣り針)の付いた釣り竿を使うと、普通の小枝(simple twigs) を使うのに比べて、エサを樹の孔からほじくり出して釣り上げるスピードは 10倍速くなることが分かったという。

 なお、人間は最も知恵の発達した霊長類 (primates)。しかし、その人間が釣り針を作れるようになったのは、わずか約 23,000年前とされる。沖縄の洞窟で2016年に発見された、人類史上、最古の釣り針「貝殻の釣り針 (seashell-carved hooks)」が、それだ。

 釣り針の発明は「カレドニアカラス」の方が早いとなったら、人類のメンツが丸つぶれだ。
 なぜ、そのカラスの小さな頭脳が、巧妙極まる釣り竿を作らせ、その技術を進化させたのか。「ものづくりの原点 (origin)」には何があったのか。Rutz教授らの研究結果は、人間・動物の技術史の謎に一つの「insight (識見)」を与えるものとして高く評価されている。

 Würzburg大学の Mr Juan Capuenteが指摘するように、「人類はもっと『humble (謙虚)』になるべきだ」。確かに、「ものづくり」に邪悪な知恵が働くと、ごまかし、不正で塗り固めた製品ができあがる。カラスに学ぶべきことが多いかも知れない。

 また、Rutz教授によると、New Caledonian crows (カレドニアガラス) の「ものづくり」の進化は、おそらく、これで終わることはないだろうという。いつか、もっと優れた道具 (tools) をつくり出すかも知れないと。

 一連の研究結果は科学雑誌「Nature Ecology and Evolution」に発表された。
 
                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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画期的なガン検診:血液検査「CancerSEEK」の威力に世界が注目! (BBC-Health, January 19, 2018)

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 血液検査で「白血球が多い」などの情報レベルは古い。Johns Hopkins大学の Dr Cristian Tomasettiらの研究グループが開発した血液検査「CanerSEEK」は 8種のガンを「sensitivity (感度)」70%で確定できる。臨床試験で識別されたガン患者 1,005人のガンの部位は、

・ovary (卵巣)
・livers (肝臓)
・stomach (胃)
・pancreas (膵臓)
・oesophagus (食道)
・colon (結腸)
・lungs (肺)
・breasts (乳房)

この斬新的な血液検査は、ガン腫瘍細胞から血液中に滲出するごく微量な「DNA突然変異体」と「変異タンパク」を検知できる点で画期的だ。

"The earlier a cancer is found, the greater the chance of being able to treat it."
"Pancrealic cancer has so few symptoms and is detected so late that four in five patients die in the year they are diagnosed."
"Finding tumours when they could still be surgically removed would be 'a night and day difference' for survival."

[ ガンは発見が早ければ早いほど、治療のチャンスは大きくなる。]
[ とくに、膵臓ガンは、ほとんど症状が自覚されないため、発見が遅れてしまい、発見されて 1年以内に、5人に4人が死亡する。]
[ 膵臓ガンが手術で摘出できる段階で発見されるなら、その生存率は「夜と昼の違い」ほど、高くなる。]

 ただし、現在のところ、「symptomatic cancers (症候性ガン)」の初期段階のガンの検出には、十分に成功していない。「stage 1」に対する「CancerSEEK」の「sensitivity (感度)」は40%。したがって、「マンモグラム (mammograms)」や「大腸内視鏡検査 (colonoscopies)」などの「screening tools (スクリーニング手段)」を補完するガン検診として期待されている。

 なお、この「CanerSEEK」の検査コストは患者1人につき$500 (約55,000円) 以下。大腸内視鏡検査費用とほぼ同じくらい。

 「Cancer Research UK (英国ガン研究所)」の Richard Marais教授によると、「CancerSEEK」の初期ガンに対する有効性が実証されて、現場に採用されるまでには、少なくともまだ 5、6年は掛かりそうだという。

                     (写真は添付のBBC Newsから引用)

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薬の効かない結核:地球を救うのはエシャロットか? (BBC-Health, January 20, 2018)

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 人間がどんなに足掻(あが)いても、しょせん、自然の力・知恵に敵わないことが多い。

 とくに医者には少々慢心があったようだ。安易な気持ちで「抗生物質(antibiotics)」を余りにも使い過ぎたため、病原菌に耐性ができ、ヨーロッパだけでも「抗生物質の効かない感染症 (drug-resistant infections)」に罹って死亡する人は、年間 25,000を数える。

 なかでも世界中の医療関係者を戦慄させているのは、空気感染で広がる「tuberculosis (結核)」。2016年の WHO報告によると、年間約 1,000万人が結核菌に感染し、200万人が死亡している。しかも、抗生物質の効かない「多剤耐性肺結核(MDR-TB)」が増加傾向にあり、WHOは 2016年の MDR-TB感染者数を 490,000人と推定する。
 この状況で、MDR-TB の感染が広がり続けるならば、やがて、世界は悲惨な結果に陥りかねない。

 London大学の Dr Sanjib Bhakta らの研究チームは、イラン料理の食材の定番「ペルシャ・エシャロット (Persian shallot)」から、耐性結核菌の「内因性抵抗 (intrinsic resistance)」を 99.9%遮断する4種の化合物 (chemical compounds) の抽出に成功した。

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 共同研究者の 1人 Simon Gibbons教授は、抗生物質に耐性ができた病原菌との闘いに勝利するカギは、自然 (nature) の中に存在するとみる。
 Gibbons教授の言葉だ。

"Natural products from plants and microbes have enormous potential as a souse of new antibiotics."
[ 植物や微生物から抽出される天然成分は、新たな抗生物質の源泉として計り知れないほどの可能性を秘めている。]

 Dr Bhaktaらは、早速、この「Persian shallot( ペルシャ・エシャロット)」から抽出した化合物と既存の抗生物質を組み合わせ、 恐怖の「多剤耐性肺結核 (MDR-TB)」治療に役立つ特効薬を開発したい考えだ。

                     (写真は添付のBBC Newsから引用)

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儂(わし)の口ヒゲは生まれつき:キザな人間とは違うわい! (BBC-Science & Environment, January 17, 2018)

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 「monkey(サル)」の仲間の多くは樹の上に生息するが、「patas monkey (パタスモンキー)」は別だ。サバンナを駆け回るこの種は、脚力を発達させた。

"Patas monkeys are found from west to east across sub-Saharan Africa; they are among the fastest-moving of ground-dwelling monkeys - able to reach speeds of about 55 km/h(34 mph)."

[ パタスモンキーはサハラ砂漠以南のアフリカ大陸東西にかけて生息し、モンキーの仲間では走るのが最も速く、およそ時速55kmに達することもある。]

 ところが、同じパスタモンキーと言っても、西エチオピアスーダンの「青ナイル川流域 (Blue Nile region)」に生息するパスタモンキーは、少々顔立ちが違っていた。口髭、それも立派な「handlebar moustache (カイゼル髭)」を生やし、他の地域のパスタモンキーに見られる、目から耳にかけた子どもっぽいバンドマークなど付けていないのだ。その顔は威厳に満ちている。
 この一帯は地理的には南スーダンのSudd に広がる広大な湿地帯 (swampy region) とエチオピアの高地 (highlands)によって隔離された場所にある。

 実は 1862年、この口髭種は、「patas monkeys」とは別種であると見なされたが、どういう訳か、1927年、ドイツの動物学者「Ernst Schwarz」は誤ってパタスモンキー属にまとめてしまった経緯(いきさつ)がある。

 「IUCN SSC Primate Specialist Group (国際自然保護連合SSC霊長類専門家グループ)」の Mr Spartaco Gippolitiは、再度、この口髭が立派な「patas monkeys」を綿密に調査したところ、150年以上前に命名されたように、パタスモンキーとは違う「Blue Nile patas monkey」、学術名「Erythrocebus poliophaeus」であることを確認した。

 なお、Madagascar( マダガスカル)、Indonesia (インドネシア)、Sri Lanka (スリランカ) のそれぞれの国でも「dwarf lemur (ネズミキツネザル)」「tarsier (メガネザル)」「slender loris (スレンダーロリス)」の新種が発見され、「青ナイルパタスモンキー」とともに科学雑誌「Primate Conservation」に発表された。

                     (写真は添付のBBC Newsから引用)

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DNA転写酵素「RNAポリメレーゼ」の姿:印象派ゴッホが描い たか? (BBC-Health, January 17, 2018)

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 地球上の全ての植物・動物の細胞は、細胞分裂して増殖する。人間の体の細胞分裂の際には、「genetic instructors (遺伝的指令)」が組み込まれた DNA 塩基配列を正確に複製する必要がある。しかし、なんらかの原因で、この作業にミスが発生すると、ガン腫瘍細胞 (cancerous ells) がつくり出され、これは正常細胞よりも急速に増殖して、コントロール不能となる。

 この細胞分裂過程で重要な役割を担うのが、DNA合成酵素の「RNA polymerase Ⅲ (RNAポリメラーゼⅢ)」。この酵素は、正常な細胞のDNA情報を確実に読み取り、原物とまったく同じDNAを精密に転写 (transcription)する分子機構 (molecular machinery)。

 細胞分裂に欠かせない酵素RNA ポリメラーゼⅢ」が、ガンに乗っ取られ (hyjacked)たら、ガンは暴走してドンドン進行する。逆に、壊れたコピー・マシンさえ修復できれば、ガン治療の効率は格段に上がるはずだ。
 ところが、これまで、この酵素の姿はよく分かっていなかった。

 「The Institute of Cancer Research (英国ガン研究」の Dr Alessandro Vanniniらの研究グループは、「cry-electron microscopy(極冷凍電子顕微鏡)」を使ってRNA polymerase Ⅲの詳細な立体画像 (3D image)」とその動きを撮影することに成功した。
 科学者の目の前に始めて現われた、その酵素RNAポリメラーゼⅢ」の姿に、みな驚く。

"It was definitely a Van Gogh." [それは、まさしく印象派ゴッホの作品のようだった。]

 これでようやく、酵素の正体も、そのDNA転写の具体的な方法も、実際に目で確認できた。この姿が崩れたときは、ガンが発生した証し。ガンに冒された酵素RNAポリメラーゼⅢ」を修繕する「新たなガン治療技術開発」に向けて期待が高まる。

                     (写真は添付のBBC Newsから引用)

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クシャミを止めたら、喉が破裂:かまんは禁物! (BBC-Health, January 15, 2018)

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 冷たい風に当たったときや、ラーメンに振りかけた胡椒を吸ったときなど、思わず激しい「クシャミ (sneeze)」が出てしまう。たいていはその瞬間にハンカチやテッシュで口元を押さえるが、それが間に合わないと、人前で飛沫を爆発させるのも失礼と、グッとクシャミを押し殺す (stifling a sneeze)。

 ところが、これは極めて危険。「The University Hospital of Leicester NHS Trust (レスターNHSトラスト大学病院)」の Dr Sudip Dasらの研究グループが医学雑誌「BMJ Case Reports」に発表した症例には驚く。
 
 イングランド中央部の都市「Leicester (レスター)」に住む男性 (34歳) は、クシャミが出そうになったので、鼻をつまんでこれを押し留めた。しかし、その結果は、病院の「A&E(救急外来)」に走ることに。
 
 まともな声が出なくなり、首は腫れ、唾を呑み込むことも話すこともままならない。首の中で何かが「はじける感覚 (popping sensation)」があると、診察した医者に訴えた。
 X腺検査を撮ってみると、その映像には喉の奥が裂け、中に無数の気泡 (bubbles of air)が入っている様子が写っていた。どうやら、気道 (windpipe) を走り出た高圧のクシャミが行き場を失い、喉の軟組織 (soft tissues) を破ってしまったようだ。この患者はクシャミをがまんしたお陰で 1週間の入院を余儀なくされた。

 クシャミを強制的に止めて、喉が裂ける例はごくまれ。しかし、鼓膜 (eardrums) や脳動脈瘤 (brain aneurysms) を壊すこともあるという。クシャミはがまんせずにテッシュを口に当てて出すのが一番。ただし、使ったテッシュは、すぐにゴミ箱に捨てて、手を良く洗うこと。「Public Health England (イングランド公衆衛生局)」のお勧めだ。

 とくに、インフルエンザ (flue) が猛威を振るうこの時期、少なくともその病原菌(germs) をクシャミで撒き散らさないエチケットは必要。

 なお、この一文をまとめるに当たって、以下の「The Guardian」の記事も参考にした。記して感謝の意を表したい。

January 15, 2018: the guardian
"Achoo! Why letting out an explosive sneeze is safer than stifling it."
                     (写真は添付のBBC Newsから引用)

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