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ぴっちりジーンズ、ハイヒールが体に悪いって!:それ、本当なの? (BBC-Health, March 14, 2017)

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 「イギリス脊椎協会 (The British Chiropractic Association, BCA)」によると、足にぴっちりジーンズ (skinny jeans) や、ハイヒール (high heels)、大型トートバックは首、肩、背中を傷めるので注意が必要だ。
 ファッションの先端を走るモダンスタイル (moderation of outfits) の問題点は次の 6 項目。

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1.Skinny jeans (ぴっちりジーンズ)
 足にぴっちりしたジーンズをはくと、動きにくくなり歩行が不自然になり、膝関節などに大きな負担が掛かる。また、はずみ良く、大股で歩くことなど無理。

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2.Oversized bags (大型トートバック)
 重いトートバッグを腕に掛けて持ち歩くと、背中の痛みの原因になる。

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3.Coats with large fluffy hoods (大型ファーフード付きコート)
 大きなファーフードをかぶっていると視界が遮られ、無理に何かを見ようとして首を痛める。

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4.High heels (ハイヒール)
 ハイヒールを履くと、背柱 (spine) が常に緊張を強いられる。

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5.Backless shoes, eg mules (踵なしの靴、サンダルなど)
 サンダルは踵(かかと)に力が入らないため、足 (legs) や腰 (lower back) を傷めやすい。

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6.Other new trends (その他)
 ファッションショーで登場するような「asymmetric hemlines (裾が非対称のコート)」、「oversized sleeves (ロング・スリーブ)」、「heavy jewelry (ドッシリと重いジェウリー)」も体に良くない。

 なお、イギリス脊椎協会 BCA が 1,062人に対してアンケート調査を実施した結果、その 73%が、服装が原因で姿勢 (posture) が悪くなったり、背中や首に痛みを感じていることが分かった。

 しかし、Limeric 大学の Dr Mary O'Keeffe は BCAの調査結果を真っ向から否定する。何の科学的な根拠もなく (no scientific evidence)、単に人の不安を掻き立てるものだと (scare mongering)。

  添付の BBC Newsではどちらの言い分が正しいか、判断できない。それでも、次の専門家のアドバイスは参考になる。

・keep active.
・get good quality sleep.
・reduce stress where possible.
・maintain a healthy weight.
・try not to worry, in most asses back pain gets better on its own.
・educate yourself about back pain.
・seek help if your pain doesn't improve within a few weeks or is very severe.

・体をよく動かす。
・睡眠を十分にとる
・できるだけストレスを減らす。
・健全な体重を維持する。
・くよくよしない。背中の痛みは、たいてい、自然に良くなる。
・背中の痛みに関する情報を集める。
・数週間過ぎても症状が改善しないか、悪化した場合には、医療機関に相談を。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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「16億年前」の海苔(のり):地球上に最初に現われた植物 (BBC-Science & Environment, March 14, 2017)

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 太陽系の惑星の一つとして、地球が誕生したのは46億年前。そして、42億 8千万年前、地球上に「単細胞の微生物 (single-celled microscopic life)」が現われた。それは、21億年前に、DNA を膜で包んだ核 (nucleus) が内在する真核生物(eukaryotes)に進化し、さらに、12億年前になると、それらが集合した多細胞真核生物 (multi-cellular eukaryotic organisms) が出現する。これまでの「生物の進化の歴史」は、こうだった。
 
 ところが、「スウェーデン自然史博物館 (The Swedish Museum of Natural History)」の Ms Therese Sallstedt らの研究チームは、中央インドの堆積岩の中に奇妙な化石を発見した。それは糸状 (thread-like) で、分厚いコロニー (fleshy colonies) を形成していた。

 これを「シンクロトロン放射X線トモグラフィー顕微鏡画像 (synchrotron-based X-ray tomographic microscopy) 解析で精査した結果、16億年前に浅海域に生息した「紅藻類 (red algae)」の仲間であることが分かった。これまでの定説よりも4億年も前に、紅藻類がすでに地球上に出現していたことの証拠だ。

 この生命体 (organisms)は、約 40兆億個の細胞が集まった人間と同じ「多細胞真核生物」だった。 残念なことに生物の DNA は残っていなかったが、 光合成(photosynthesis) を行なう葉緑体 (chloroplasts) は確認できた。つまり最古の植物(plants) だ。
 なお、紅藻類とは、巻き寿司の海苔 (nori) やアイスクリームに欠かせないゼラチン質 (gelatinous texturing agents) として、食用にされる馴染みにある植物。

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 さて、これからは夢物語。
 もしも、化石からDNAが発見され、遺伝子ゲノムを抜き出して細胞が復元できるなら、16億年前の海苔が食べられることになる。それは、いったい、どんな味がするだろうか。
 どうも、貧乏人は食い気が先に立って、仕様がない。

  Ms Sallstedt らの研究成果は、科学雑誌「PLOS Bioligy」に掲載された。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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「1兆分の1」の驚異的な臭覚センサーで:ガン・血糖値を探れ!  (BBC-Health, March 13, 2017)

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ppm, parts per million」とは、100万分の 1のこと。濃度 (concentration) の単位だ。
 イタイタイ病の原因となった重金属カドミ (cadmium) Cd は、お米 (玄米) に1 ppm まで含まれていても日本国内で流通していた。「健康に及ぼす影響が少ない」と駄々をこねる人の声が大きかったせいか、その値が、ようやく、国際基準 0.4ppm 以下に引き下げられたのは、6 年前の 2011年 2月のことだ。
 カドミ Cd と同じ理由でセシウム 137、ストロンチウム 90 についても、独自判断の基準値が設定されているのではと、危ぶまれる。危険物質に対する基準値設定において「生物濃縮 (biological accumulation)」を科学的に考慮した形跡はないからだ。

 さて、その「ppm」のさらに100分の 1は「1兆分の1」。単位は「ppt, part per trillion」となる。具体的には、0.001mg の塩を純水 1 m3 で希釈した塩分濃度。塩に限らず、これほど希薄な物質の濃度を瞬時に測定できる人工センサーは、地球上に存在しない。

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 しかし、「bio-senso r(バイオ・センサー)」があった。それも計測が難しいとされる「臭覚センサー」。それは「イヌの臭覚」だ。
 その並外れて鋭い臭覚能力を、糖尿病患者の血糖値モニタリングや前立腺ガン(prostate cancer) の診断に役立てようとする研究がイギリスで始まった。

"It is thought that the dogs can pick up the odour of cancer 'volatiles', which travel from the infected cells into the urine as the body tries to dispose of the chemicals."

[ 前立腺ガンの感染細胞から放出された揮発成分が、尿と一緒に排出されると、イヌはこれを嗅ぎ分けることができると考えられる。]

 訓練を受けたイヌの前立腺ガン診断の的中率は 90%以上。なお、前立腺ガンに限らず、乳ガンを早期に発見したイヌの例も報告されている。

 また、「1型糖尿病 (type 1 diabetes)」の疾患者は、ときに20 - 30分毎に血糖値 (blood glucose level) をチェックする必要がある。この病気は発作 (seizure) が起こって直ぐに手当をしないと「昏睡 (coma)」に陥り、死に至ることもある。これでは、夜も恐ろしくて眠れない。
 Ms Claire Pesterfield の愛犬 Magic (マジック) は「medical alert assistant dog (投薬注意介護犬)」だ。24時間、飼い主に付き添い、飼い主のわずかな血糖値の変化も見逃さない。その感知精度も「ppt (1兆分の1)」だ。これまで Claireさんがこの介護犬と過ごした年数は 3年半。その間に、3,500 回も危険な状態を知らせてくれたという。もう、Magic無しでは生きていけないと、Claireさんは話す。

 しかし、とにもかくにも、Magic君は偉い。
"He does it all for a dog biscuit."
[ 彼は、ドッグ・ビスケット 1枚のために、何でもしてくれるのよ。]
                                                                                                                        (写真は添付の BBC Newsから引用。)
        

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エトナ噴火20170316:命からがら脱出、死ぬかと思った! (BBC-Business, March 17, 2017)

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 これは、BBC記者Ms Rebecca Morelleが偶然に遭遇し、その目で見てまとめた「エトナ噴火 (Etna explosion)」の命がけの報告だ。参考にすべき点は多い。

 先週の 3月 16日木曜日。その日、BBCチームはイタリア南部シチリア島にそびえるエトナ山 (標高3,329m )に登っていた。エトナ山のモニタリングをリポートするためだった。お天気は最高で、空は青く、風はほとんどなかった。チームは雪に覆われたエトナの頂上を目指した。その南東河口付近からマグマが噴出し、雷のような轟きが辺りに鳴り響いていた。
 やがて、昨夜の間にあふれ出た溶岩が直接見える場所までやって来た。そこには灼熱の真っ赤な溶岩が、火口の壁に沿って流れ落ちていた。

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 BBC の取材班にはイタリア「国立地球物理学・火山学研究所」の科学者が同行していた。周りには、数十人の観光客が、エトナの山岳ガイドを伴って、この活火山が織りなすスペクタクルの見学にやって来ていた。
 このときの溶岩の流れは、ごくゆっくりしたもので、その現場がとても危険とは思われなかった。しかし、地下からあふれ出た溶岩はシューシュー、パチパチと音を立て、すさまじい熱で、とても近づくことはできなかった。

 BBCチームが火口に到着して 20分ほど経ったころ、突然、溶岩から白い蒸気が噴き出した。そのときは、轟音があったわけでもなかったので、とくに恐怖を感じなかった。しかし、山岳ガイドたちは、その場から離れるように見学者に促した。
 その直後だった。いきなり噴火が起こった。溶岩は雪、氷と混じり、灼熱の岩や挙礫岩 (boulders) が、空中に高く吹き飛んだ。そして、あらゆる方向の地上を、雨が降るように襲った。
 みんな、走って逃げた。当たったら命取りになりかねない、熱い岩屑 (debris) がバラバラと降ってくる中を必死で逃げた。しかし、噴火によって蒸気がモウモウと立ちこめ、周りは全く見えなくなった。

 私は頭を手で保護して逃げている最中に転んだ。耳に聞こえてきたのは体の周りに落ちる岩の不気味な音だけだった。このとき、本当に死ぬかと思った。
 しかし、驚いたことに、どういうわけか、BBC チームの撮影担当女性記者 Ms Rachel Price はカメラで現場を撮り続けていた。空から降り注ぐ灼熱の岩が服を焦がし、やけどを負っているはずなのに。

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 この後、大混乱に陥りながらも、BBCチームは雪上車 (snowcat vehcle) で全員無事下山に成功する。
                (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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生乳 (無殺菌乳) チーズ: おいしいけれど、食中毒の危険も! (BBC-News, March 10, 2017)

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 北米、ヨーロッパ旅行の楽しみの一つは、なんと言ってもチーズ (cheese)。これにブドウ、イチゴなどの果物を添え、白いカップにコーヒーを注ぐと、最高の贅沢気分となる。とくにパリではチーズの種類が豊富で、値段が破格だった。

 チーズは牛乳の他にもヤギ乳、ヒツジ乳を乳酸発酵させて作られる。このとき、生乳(raw milk)の「低温殺菌 (pasteurisation)」処理を省くと、殺菌処理して作ったものに比べて、風味 (flavour) も味 (taste) も違ったチーズができあがる。フランス産チーズの 1/5がこの方法で製造されている。

 さて、New York 州の「Vulto Creamery」会社が、生乳(無殺菌乳)を使って製造したソフト生乳チーズ (soft raw milk cheese)、商品名「Ouleout」は「pungent and meaty (ピリッとした味で、肉のようなチーズ)」だった。
 ところが、このチーズを食べた人が「listeria (リステリア菌)」による食中毒を発症し、そのうちの 2名が死亡した。食中毒患者は New York, Florida, Connecticut, Vermontの各州で確認された (計6名)。このため、製造会社は 3月 7日 (火)、この商品のリコールを開始。

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 リストリア菌は、加熱 (cooking)するか低温殺菌 (pasteurisation) 処理で死滅するが、冷蔵庫の中では生き続けるという。
 「The US Centrers for Disease Control and Prevention, CDC (アメリカ疾病管理予防センター)」によると、生乳(無殺菌乳)に潜むリステリア菌で食中毒に罹ると、何日も下痢 (diarrhoea)、胃痙攣 (stomach cramping)、嘔吐 (vorming)に悩まされ、まれに腎不全(kidney failure)、倦怠感 (paralysis)、慢性疾患 (chronic disorders) を引き起こし、死に至ることもあるという。
 とくに、免疫力が弱っている高齢者、妊婦、子どもは危険だ。

  なお、USA の 20州でチーズなどの無殺菌乳製品 (raw milk products) は許可されていないが、25州の酪農家で作られて、13州で販売されている。
 また、イギリスに限ると、生乳 (無殺菌乳) の販売が禁止されているのはスコットランドのみ。生乳も、それから作られたチーズ (輸入品) も販売されている。

 ちなみに「チーズ」に関心のある方には、次の一冊を勧めたい。
・齊藤忠夫:チーズの科学 ミルクの力、発酵・熟成の神秘、講談社ブルーバックス、2016                                                            
                      (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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ビルの47階から真っ逆さまに落ちた!:が、奇跡的に助かった人 (BBC-Magazine, March 9, 2017)

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[ 地上 3 階建ての高さから人が落下すると、生存率は 50%。それが 10階建てのビルになると、ほとんど助からない。ところが、ビルの 47階、地上から 144mの高さから真っ逆さまに落ちて、奇跡的に助かった人がいた。]

"Only half of the people who fall three storeys survive. From 10 storeys almost no-one does. This is the tale of a window cleaner who survived a 47-floor fall from the roof of a New York skyscraper."

 事故は、2007年12月7日の朝、New YorkのSkyscrape rビル群の一つ、50階建ての「Solow Tower building (ソロー・タワー)」で起きた。
 その日、ビルの屋上は凍えるような寒さだったという。Mr Alcides Moreno (当時36歳)は、弟の Edger と一緒に、ビルの屋上からつり下げた、長さ 4.9m の作業台 (scaffold) に乗って、ビル全体の窓拭き作業を始めたときだった。突然、ケーブルのブレーキが外れて作業台はバランスを崩し、弟 Edger がビルの 47階、地上 144m の高さから転落。続いて Mr Alcides Moreno も落下した。その高さから真っ逆さまに落ちると、地上に時速 190km 以上のスピードで激突した計算になるという。

 弟は、不運にも裏通り (alley) の路上に叩き付けられて即死だった。兄の Mr Moreno が落ちたところは、金属類が山積みにされた場所だった。その男の脳、脊柱、腹胸部は負傷し、肋骨に右腕、両足の骨が折れて、息も絶え絶えの状態だった。しかし、まだ生きていた。すぐに近くの病院に運ばれて緊急手術を受けた。

 Mr Moreno が病院のベッドの上で目を覚ましたのは、事故からおよそ 3 週間後の Christmas の日だった。

 現在は、家族とともに温暖な Arizona の Phoenix に引っ越し、満身創痍の体をいたわって生活している。背骨を痛めたため、走ることはできなくなったが、歩くのには支障がないほどに、傷も回復した。
 このエクアドル生まれの Mr Moreno の望みは、できることなら、もう一度、ビルの窓拭き職人の仕事をやってみたいとか。

                                 

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アボリジー先祖の歴史:DNA解析で見えた50,000年前 (BBC-News, March 9, 2017)

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 アボリジー (Aborigine) の語源はラテン語「ab origine」、すなわち「from the beginning (当初から)」の意で、「イギリスの入植者 (colonists)」の反意語として、1500年頃から差別に使用された言葉だ。日本語では「原住民」となる。

 今でこそ、「inhabitants (住民)」あるいは「indigenous people (先住民)」と文書で記されるが、およそ 500年間「原住民」として、蔑 (さげす) まされてきた歴史がある。

 1,788年、イギリスは、オーストラリア大陸を流刑植民地にすると、ここに送り込まれた犯罪者や入植者達は、まるで鳥や獣を狩るかのように、アボリジーをハンティングし、殺戮の限りを尽くした。さらに 1869年、政府は教育政策と称してアボリジーの子どもを強制的に親から切りす「Project」を開始した。その本当の目的は、アボリジーの言語・伝統・文化とアボリジー民族そのものをこの世から抹殺することにあったと言われている。

 さて、そのアボリジーの先祖はどこからやって来たのか。
 Adelaide大学の Alan Cooper 教授らの研究グループは、DNA解析によって、その歴史に迫り、研究成果を科学雑誌「Nature」に発表した。
 Cooper 教授らが研究の拠り所としたのは、1900年代初めに人類学者 (anthropologists)がオーストラリア各地から採取した 111本の髪の毛サンプル。その頃になると、白人が入植する以前には約 50万~100万人と言われたアボロジーの人口が、白人の徹底した隔離政策と、白人が持ち込んだ伝染病、白人の容赦ない殺戮などが原因で、人口は約 7万人に激減していた。

 Cooper 教授らは、からくも髪の毛に残された純血のアボリジー特有の「遺伝子物質(genetic material)」を分析し、「母系の先祖 (maternal ancestry)」の軌跡をたどった。
 すると見えてきたのは、今から 50,000年前、New Guinea がオーストラリア大陸と陸続きであった時代に、アボリジーの先祖がオーストラリア大陸に足を踏み入れ、その後、2,000年の間に、大陸の西側と東側の海岸に沿って定着して行った事実。

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                                                                           (写真は添付のBBC Newsから引用。)

 Cooper 教授が語るには、『この研究で、少しばかり驚かされたのは、アボリジーがこの地に定着すると、そこからは、もはや移動しようとはしなかったこと。大陸にやむなく定着せざる得なかった理由 (compelling reason) も明らかにされているが。』
 なお、この BBC の記事ではその詳しい理由は説明されていない。興味のある方は、ぜひ「Nature」のご一読を。
                              
        

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