ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

いじめ(bulling)根絶を目指し:その原因、特徴、対策、事例を考える! (BBC-News, November 14, 2019)

f:id:hiroshinews:20191122052612p:plain

1.苛(いじ)めとは
 「bulling (いじめ)」とは、さしずめ、こんなところだ。
・intimidate or persecute (someone weaker)[COD 12ed.]:(弱いものを)威嚇したり、苦しめること
 つまり、肉体的あるいは精神的な苦痛を与えて、追い詰めることだ。「harassment (嫌がらせ、ハラスメント)」と混同しやすいが、「bulling (いじめ)」は弱いものを対象にすること、ときに「恐喝・脅し」に至る点に相違がある。しかし、いずれも手をこまぬいて放って置くと、段々エスカレートし、悪質の度が増す。

2.いじめの原因
 学校、病院、企業・公共機関等では、陰湿な「bulling (いじめ)」のほとんどが隠蔽される。このため感染性ウイルスのように、内部に深く潜伏し、出現の機会を狙っている。 いじめの主な原因は、その形態 (クラスいじめ, 職場いじめ、ネットいじめ、スポーツいじめなど)に拘わらず、次の3点に集約される。

1) 事業主もしくは機関・団体の責任者が、公平・公正かつ真摯に「いじめの問題」に取り組もうとしない、あるいは、適切な取組み方を知らない。
2) 他人を執拗に攻撃する境界性パーソナリティ障害などの人格障害者、あるいは加虐的な異常人格者(子ども)に対し、社会がどのように対処すべきか、まともな解決策を見いだせていない。
3) 「bulling (いじめ)」の大半は、自己の境遇・才能と かけ離れた他人に対する嫉妬、嫉(ねた)みが背景にある。

 これまで、どれだけの子ども・弱いものが、「bulling(いじめ)」を受けて辛(つら)い体験をし、また、どれだけの事例が表に出ることなく、隠蔽されて来たかは計り知れない。
 加害者あるいは団体責任者は、被害者を自分の家族と同じようには決して見ていない。「もしも、被害者が自分の子どもだったら」との気持ちが、大切なのだ。

3.いじめの加害者の特徴
 「盗っ人にも三分の理」と言うが、いじめの加害者から話を聴くと、もっともらしい屁理屈を延々と並べ立てる。しかし、次の点が欠けている。

・他人の人権(human rights)を尊重する姿勢
・信頼 (trust)
・尊敬 (respect)
・相互扶助 (mutual assistance)
・罪悪感 (feelings of guilt or sin)

4.では、どうすれば良いか (有効な対策)
 学校や企業・団体が相談窓口を設けて、心理療法士の資格を有するカウンセラーなどが事の処理に当たるようになった。しかし、これに全てを委(ゆだ)ねて、責任者が身を潜めていては問題の解決にならない。それは、まるで傭兵を雇って、厄介な敵と戦わせることに似る。
 まずは、精神的なダメージの大きい被害者に寄り添い、十分な時間を割いて、話を聴くこと。その上で加害者およびその周辺の関係者からも意見を聞くことが欠かせない。

 さらに、「bulling (いじめ)」に対する厳格なルールを作成し、これに違反した加害者に対するペナルティーを定めること。「bulling (いじめ)」も「harassment (嫌がらせ)」も人の心を踏みにじり、被害者の生活・人生を台無しにする罪悪だ (ただし、恐喝・暴力は犯罪。速やかに刑事事件として処理すべきだ)。

5.職場の「bulling (いじめ)」の事例
 Scotlandに在住する「dental hygieniest」Ms Pauline Thomsonは、「NHS Highland」の医局に23年間勤務した。
 職場の「bulling (いじめ)」は、ごくつまらない「当てこすり (nit-picking)」から始まった。それが徐々にエスカレートし、やることなすこと全てに「難癖」がつくようになった。「仕事の段取りが悪い」「顔色が悪い」「車のパーキングの仕方が悪い」などのいじめが続いた。

 Ms Thomsonは我慢の限界に達し、ついに「労働裁判所 (employment tribunal)」に提訴した。そして、今年の初め、勅撰弁護士 Mr John Sturrockが、この件を調査した結果、「NHS Highland」医局では、「bulling (いじめ)」の被害にあった人が推定数百人に達することを突き止めた。この医療機関には、「a culture of bulling (いじめ文化)」が蔓延(はびこ)っていたのだ。

 Ms Thomsonは、現在、歯科衛生士の「personality practice (個人営業)」を続けながら、労働裁判所の裁決結果を待ち望んでいる。

おわりに:「いじめ」も「ハラスメント」も、被害者に寄り添った迅速な取り組みと、再発に向けた組織的な取り組みが必要なことは言うまでもない。事業体・会社のイメージに傷が付くのを恐れたり、社会的な批判を恐れたり、または単なる責任者自身の保身を理由に、「bulling (いじめ)」の事例を隠蔽するなど、もっての外だ。

                                                  (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com