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痛い膝(ヒザ)が治らない!:ヒザ関節がゴリラ型に先祖返りか? (BBC-Health April 18, 2019)

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 江戸時代に比べて、日本人は、ずいぶんと背が高くなった。それはUK、ヨーロッパ諸国の人とて同じだ。人間の、走る、飛ぶ、投げる、泳ぐなどの運動能力も飛躍的に伸びて、オリンピックでは、毎回、記録が更新される。
 人類すなわちヒト属 (Homo)は大型になり、その体力は、確実に進化しているように見える。しかし、本当はどうなのだろう。病気に対する抵抗力が下がっているのではないか、あるいは、怪我をしやすい体に変化しているのではないか、との疑問はぬぐいきれない。

 近頃、どこの総合病院でも整形外科は大入り満員。その待合室では、座る椅子を見つけることさえ、大変だ。とくに、ヒザの痛みで苦しむ人が増えているという。なかなか、ヒザの痛みが治らない、あるいは、当の医者も原因がよく分からずに治療を繰り返すことも少なくないとか。そんなときは、ヒザ関節の裏に隠れた、ごく小さな骨を疑った方が良いかも知れない。これまで、ほとんど指摘されてこなかったことだ。

 ヒト科ヒト属 (Homo)の先祖が、ゴリラ、チンパンジー、オランウータンなどの「great apes (大型類人猿)」から分岐したのは、今から500 - 700万年前のこと。その後、ヒト属の歩き方がまったく変わり、ヒザ関節の仕組みにも変化が起きた。ヒザ関節にあった「fabella (種子骨)」が消えたのだ。

 「fabella」とは、ラテン語で「小さな豆粒 (little bean)」を意味し、ヒザ関節の裏側の腱の中に埋め込まれた小さな骨。太古の人類の祖先にあっては、膝頭の機能があり、骨と骨の摩擦を和らげたり、筋肉の力の向きを自由に変える働きがあったとも考えられる。しかし、当初から、何の役目も果たさなかったかも知れない。種子骨の機能については、よく分かっていないのだ。
 
 さて、「The Imperial College」の Dr Michael Berthaumeらの研究グループが、この150年間の27ヶ国における「fabella (種子骨)」に関する「医学的な資料 (medical literature)」を精査し、驚くべき事実を発見した。
 100年前の1918年当時、ヒザ間接に種子骨が見つかる人は、わずか11%に過ぎなかったのに、2018年になると、その数値は約 3倍の39%に急増する。種子骨については、まさに「先祖帰り (reversion)」が起きていたのだ。

 それも「osteoarthritis (骨関節感染症)」の患者に、普通の人の2倍の確率で「種子骨」が見つかるという。ただし、「fabella」が実際に感染症を引き起こしているのかは不明。いずれにせよ、現代人にとって、「fabella」は不用の存在。
 やたらと、ヒザの痛みをつくりだし、「ヒザ関節の代替手術 (knee replacement surgery)」の際には「医者泣かせ」となる。

 なぜ、人類が「先祖帰り」を起こして、「fabella (種子骨)」を復活させるようになったのか。
 この疑問に対する Dr Berthaumeの答えは意外なものだった。100年前に比べて人類の栄養状態が良くなったからだというのだ。
足の「頸骨 (shinbones)」が長くなり、「ふくらはぎの筋肉 (calf muscles)」も、たっぷり付いて、人の背が高くなって、体重も増えた。
 その結果、必然的に、ヒザ関節には大きな力が掛かるようになった。ヒザ関節の腱に埋め込まれた「fabella (種子骨)」は、ヒザに掛かる力が大きく、ヒザの運動が激しくなると、まるで「種子」のように生長することが知られている。

 こうして、体の大きくなった人間あるいはヒザを酷使する運動選手に「fabella (種子骨)」が発育し、ヒザを痛める原因となっている。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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