白血病:免疫療法でついに降参 (BBC-Health, February 16, 2016)
「白血病 (leukaemia)」は、かって、不治の病(やまい)と言われた「血液のガン (blood cancer)」。現在も難病には違いないが、これまで化学療法 (chemotherapy)、放射線治療 (radiotherapy) が次々と開発され、治療法は、一昔に比べて格段に進歩した。
「Fred Huchinsonガン研究センター」のStanley Riddell 教授らの研究チームは「アメリカ科学振興協会年次大会 (The American Association for the Advancement of Science's annual meeting)」で、末期症状に陥った白血病患者を救う、画期的な「免疫療法(immunotherapy)」を発表した。
Riddell 教授らは、患者の血液から「白血球 (white blood cells)」を取り出した。その中には、「キラー T 細胞 (killer t-cells)」がある。T 細胞の通常の働きは、血液中の「感染組織 (infected tissue)」を破壊すること。ところが、この細胞を遺伝子学的に修正し、「キメラ抗原レセプター (chimeric antigen receptors)」の役目を担わせて、「急性リンパ芽球性白血球 (acute lymphoblastic leukaemia)」の細胞を攻撃するようにした。
これを再度、患者の体内に送り込むと、T 細胞は血液中の白血病細胞を探査、認識し、破壊するようになった。
末期症状にある白血病患者に、この新たに開発された「免疫療法」を一度だけ、処置しただけで、90%以上の被験者に「完璧な回復 (complete remission)」が認められたという。
ただし、臨床試験では、患者 7 名が「サイトカイン放出症候群 (cytokine release syndrome)」を発症し、病状が深刻な状態にまで悪化した。さらに、2名の患者は、「極度の免疫反応 (extreme immune response)」を起こして、死亡する。
専門家の一部からは、この研究はまだ「a baby step(ほんの一歩)」に過ぎない、との声も聞かれるとか。また、詳細な臨床データを公表していない点も批判されている。
しかしながら、研究成果は画期的だ。今後は、乳がんのような「固形腫瘍 (solid tumours)」に、この「免疫療法」をどのようにして適用するかが課題になるという。
(写真は添付のBBC Newsから引用)