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「電子メモリ依存症」:浸食受けて記憶力 ボロボロ (BBC-Education & Family, October 7, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/936/cpsprodpb/728C/production/_85942392_thinkstockphotos-80404212.jpg

 今では、何でもコンピュータで調べられる。スマートフォンはメモ帳代わりに使えて、写真も撮れる。大学の授業では、学生がノートを取らずに、この「スマフォ」とやらで、カシャカシャと黒板の画像を撮りまくる。そんな時代だ。

 確かにコンピュータもスマートフォンも便利。しかし、「便利さ」は、得てして何か大切なものを失うものだ。脳の記憶力も、その一つ。

 Birmingham 大学の研究者が、UK、France、Germany、Italy、Spain、Belgium、the Netherlands、Luxembourg の8ヶ国に住む6,000人を対象に、「記憶習性 (memory habits)」について調査した。その結果、調査対象者の1/3以上が、何かを調べるときには、真っ先に、コンピュータを開くこと、中でも、イギリス人は、その50%以上が、すぐにコンピュータ検索に走ることがわかった。

"Our brain appears to strengthen a memory each time we recall it, and at the same time forget irrelevant memories that are distracting us."

[ 人間の脳は、特定の情報を思い出す度に、その記憶を強化するようにできている。それと同時に、情報を整理し、まぎらわしい (distracting)、重要度の低い情報 (irrelevant memories) は忘れる(削除する)ように働く。]

 つまり、何度も「思い出す(recalling)」機会が脳に与えられないと、情報は脳内に「永久的な記憶 (permanent memories)」として保存されないのだ。

 しかし、ボタン一つで、探し求める情報が得られてしまうと、この脳の学習・分析機能が衰える。情報を見て、利用するだけでは、その後、すぐに忘れてしまうようになるという。
 イギリス在住の成人で、勤務先の電話番号を覚えている人は43%だが、子どもの電話番号になると、29%に下がる。また、夫婦のどちらかが互いの電話番号を覚えている人は51%であった。

 どうやら、現代人の多くは、コンピュータを自分の脳の「外付け電子メモリ(extension devices)」として利用しているようだ。
 この状態で心配されるのは、「電子メモリ健忘症 (digital amnesia)」。たとえ、どんなに重要な情報であっても、すぐに忘れてしまう病気。コンピュータを開くと、いつでもチェックできると思ってしまい、物事が覚えられなくなってしまうのだ。

 便利な日常生活に、重大なリスクが忍び寄っていることを忘れてはいけない。
 何でも、コンピュータに頼ってしまう「電子メモリ依存症 (digital dependence)」は怖い。また、掛け替えのない文書や思い出の写真も、電子デバイスのトラブルあるいは盗難で、一瞬に消えてしまう危険性が、コンピュータ社会に潜んでいる。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com