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手術中につき立入禁止:実は大音響「舞台」にこだわる外科医 (BBC-Health, August 5, 2015)

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 その昔、「シアタ(theartre)」とは野外劇場のことであった。古代ギリシャ、ローマの市民にとって、野外で執り行われる悲劇、喜劇をその石段に座って鑑賞することは、何よりの楽しみであった。
 英語「theatre」の語源は、「見る場所(seeing place)」という意味を表わすギリシャ語「theatron」に由来する。かのShakespeareは「舞台(stage)」の意味として「theatre」を使っている。

 この「theatre」が、イギリスで「operating theatre」となると、手術室(operating room)のことを指す。よほど、外科医は「舞台」や「演劇者」に憧れているようだ。しかも、手術中には、何がなんでもバックミュージック(background music)が必要と、「イングランド王立外科医師会(The Royal College of Surgeons)」は固執する。

 しかし、その音響は「並のバックミュージックのレベル」では、なかった。「大音響」にボリュームを上げ、ナース(scrub nurse)が執刀医の指示を聞き取れないこともあるという。

"Dance music and drum and bass were often played fairly loudly, with popular tracks sometimes blasted out, which made talking difficult."

[ダンスミュージックにドラム、バスが大音響で鳴り響き、ときに、ポップミュージックのボリュームが上げられる。手術室はほとんど会話ができない状況だ。]

"In one operation, the scrub nurse asked the surgeon to turn the music down because she was finding it hard to count up how many swabs had been used."

[うるさくて(off-putting)、手術に使用した消毒用綿棒の数を数えるのに、支障を来すと判断したナース。たまりかねて、執刀医にボリュームを下げてくれるようにお願いする始末。]

 イギリスの2カ所の病院で実施された20回の外科手術の実態が分析され、その結果が「The Journal of Advanced Nursing」に発表された。前文は、その要点である。
 なお、調査、分析は、手術室にセットされたモニターカメラの記録(35時間分の映像)に基づいて行なわれた。バックミュージックは手術の80%で使用されていたという。

 この調査結果に対し、医師会側は「手術中の集中力(concentration)を高めるためにはバックミュージックが欠かせないし、これまで何ら問題は生じていない」と、改めて主張。
 
 イギリスの外科医は「舞台の上の王様」気取り。「王様」は人の意見など聞かないもの。言うまでもなく、手術にはチームプレイが欠かせない。偽王様1人がかってに何かに集中しても、意思疎通(verbal  and non-verbal communications)が機能しないのでは、人の生命にかかわる手術に重大なミスが付きまとうだけだ。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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