お望みはどちら:「病気知らず」それとも「ガン、心臓病」 (BBC-Health, January 9, 2020)
よほどの「天の邪鬼」でもない限り、病気知らずの健康な生活(happy and well-being life)は望むところだろう。ところが、人は年齢を重ねるにつれて病気に罹りやすくなる。その病気の中でも治療が難しく、治り難い病気といえばガン、心臓疾患、2型糖尿病だ。
さて、戦後の日本が貧しかった頃のことだ。現金欲しさに、日中は日雇いの土方の現場に出て、汗と泥にまみれて働き、夕方、仕事を終えると、真っ先に酒屋に走り込んでは、小さな一合升(ます)に、なみなみと注がれた酒を、ちびりちびりと大事そうに飲み干す男衆の姿をよく見かけた。小さな町の住民は、ほとんどが、その日暮らしだった。
しかし、当時は貧しいことは貧しかったが、子どもの数が多かったせいか、今よりも、村や町には活気があって、まともな仕事をしないでぶらつく、だらしない連中は少なかったように思う。だた、働き盛りの多くの人が脳卒中で倒れたことは確かだ。
あの頃、必死で働いた人々は、どこに行ってしまったのだろう。みんな、ガンや脳卒中で亡くなってしまったのだろうか。
ところで、「Harvard School of Public Healh (ハーバード大学公衆衛生学部)」の Dr Frank Huらの研究グループが、被験者111,000人を対象にした、20年以上にわたる大規模健康調査を実施し、どんな人が病気に罹らず、長寿を全うしているのかについて調べた。
被験者が50歳に達した段階で、次のような質問に答えてもらった。
・タバコを吸っていないか
・健康的で、栄養バランスのとれた食事をとっているか
・毎日、30分以上の運動(中、強)をしているか
・体格指数BMIが18.5-24.9の範囲にあるか
・1日のアルコール摂取量は、小さなワイングラス(175ml)でワイン1杯あるいは中ジョッキ(568ml)でビール1杯程度か
この 5つの質問項目の内、「Yes」が4ヶ以上あった回答者は、ガン、心臓疾患、2型糖尿病とは縁のない人生 (disease-free life)を
・女性:34.4年
・男性:31.1年
も送ることができていた。この数値は、「Yes」が少なかった人に比べて、病気知らずの年月が
・女性:10.7年
・男性: 7.6年
長かったことになる。
ただし、Dr Huらの研究は、あくまで「observational study (観察研究)」であり、病気の因果関係については不明。
なお、太り過ぎは13種のガン(乳ガン、大腸ガン、腎臓ガン、肝臓ガン、食道ガンなど)に深く関与していると考えられている。また「Cancer Research UK」によると、ガンはガンでも10種の内 4種は
・ハム・ソーセージなどの加工肉を食べ過ぎない
・食物繊維を多く摂る
・肌を直接紫外線に当てない
など、ライフスタイルに注意することで防ぐことができるとする。
謝辞:この一文をまとめるに当たって以下の優れた「The Guardian」の記事も参照した。記して謝意を表したい。
The Guardian: January 8, 2020
・Healthy habits extend disease-free life ‘by up to a decade’
(写真は添付のBBC Newsから引用)