ロンドン市民を襲撃:毒蛾OPM幼虫、陣形をつくり毒毛で襲う! (BBC-News, April 28, 2018)
「蓼 (たで) 食う虫も好き好き」、「捨てる神あれば、拾う神あり」とも言われ、人の好きずきには計り知れないものがある。あの「蛾 (moths)」を美しいと褒め称え、その採集に夢中になっている人もいる。
しかし、園芸家にとって、蛾は「敵」の何ものでもない。とくに「イラガ(Encleidae)」は最悪だ。イラガは秋も暮れることに、小枝の根元などに、白く小さな硬い繭をつくる。まるで目印にするかのように、繭の横には茶色の線が入る。
やがて、夏が近づくと、背中から無数の細い毛を針のように突き立てた幼虫が現われて、葉の裏陰に隠れる。これにうっかり手や顔を触れようものなら、鋭い痛みが走り、触れた箇所は赤く腫れ上がって、水疱ができるほどだ。炎症は約 1週間間続くので始末が悪い。
さて、このイラガの仲間の「Oak Processionary Moth (オーク・プロセッショナリィ・モス OPM)」が Londonで猛威を振るっている。
OPMの幼虫は、およそ 62,000本の毒毛を背中に突き立て、春の終わり頃から初夏にかけてオークの樹に棲み着き、その葉を食い荒らす。この毒毛虫は集団 (clusters)をつくり、一列になって「数珠つなぎ (nose-to-tail processions)」で動き回る。ときには、「矢印の陣形 (arrow-headed processions)」を取って移動する。
その長く白い細槍のような毛の先からは、猛毒が染み出ている。これに触れると、触れた箇所に水泡ができて、発熱 (fever) に、目や喉の炎症まで引き起こすこともある。
なお、その毒毛の威力はすごい。たとえ毛が地面に落ちても、その後 5年間、毒が抜けることはないという。
London近郊の緑化を図る目的で進められた「landscape project (景観プロジェクト)」。そのとき、OPMは、ヨーロッパから持ち込まれたオークの樹に潜んでいた可能性が高いと考えられている。
なお、毒蛾OPM の被害に遭わないようにするための注意点として、「Forestry Commission (英国森林委員会)」は、次の3点を挙げる。
・OPMの幼虫またはその群れには、触れず、近寄らず。
・子どもにも、OPMに触らない、近寄らないようにと注意する。
・動物(ペット)もOPMに近づけないようにし、自分でOPMを駆除しようとしないこと。
(写真は添付のBBC Newsから引用)