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鉱山(地下資源)労働者の胸の病気:X線検査では不十分 (BBC-News, January 11, 2016)

http://ichef-1.bbci.co.uk/news/904/cpsprodpb/F366/production/_87601326_xray.jpg

 人間の肺の中には、直径約 0.2 mm の肺胞 (alveoli) が 2~7 億個も詰まっている。そこは、酸素と二酸化炭素が交換される大事な器官だ。粉じんや炭塵が混じった空気を吸い続けると、その肺胞内に微少 (1µm以下) な粒子が蓄積し、やがて「肺組織 (lug tissue)」は「線維症や炎症 (scarring and inflammation)」を発症する。これが「じん肺(pneumoconiosis)」と呼ばれる恐ろしい病気だ。

 さて、Nottinghamshire (ノッチンガムシャー州)の「Thoresby colliery (ソレスビー炭坑)が、昨年 2015 年 7 月 10 日 (金)、その 90 年の歴史に幕を下ろしたことは、この記事で取り上げ、アーカイブ・カテゴリー「文化・文学」に収録されているとおり。

 炭坑の閉山に伴って解雇された坑夫の Mr Ray Nunn、Mr Crawford Hunter の両氏が、昨年の暮れ「CT scans」を受けたところ、「じん肺」と診断された。これまで2人とも定期的な健康診断を受けており、3~4年ごとの X線検査では、常に「良好(satisfactory)」の判定であったという。Nunn 氏も Hunter 氏も年齢は 51歳。炭坑の勤務年数は、それぞれ 35年、26年のベテラン坑夫であった。2人は職を失った上、じん肺の宣告を受けて、打ちのめされる (devastated)。

 「The Union of Democratic Mineworkes (民主炭坑労働者組合)」の代表 Mr Jeff Wood氏は、CT scans 検査の取り組みを拒んできた炭坑会社 UK Coal の無責任さを非難する(accused)。
"They said the cost was too much and they didn't think it was necessary because, on the advice from their medical advisers, the plain view X-rays were sufficient."

[ 会社側は、CTスキャン検査にはコストが掛かり過ぎるとも、医療専門家のアドバイスによると、通常の X 線検査で十分であるとも言ってきた。]

 じん肺は、ダスト (dust) の暴露 (exposure) から長期にわたる年数を経て発症し、炎症組織の治癒が難しい病気 (a long term and irreversible disease) だ。息切れ (shortness of breath)、咳 (coughing)、胸部圧迫感 (tight chest) などの症状が現われる。

 イギリスの炭坑で働き、今も生存する人口は約 12 万人。その 40%に「じん肺」の発症リスクがあると推測されている。BBC がこの件について、政府と炭坑会社 UK Coal にコメントの提供を求めたが、これまでのところ、どちらも口を閉ざしたままだ。

                    (写真は添付のBBC Newsから引用)

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