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100年後の未来社会を予測する!:カギは5つ (BBC-Future, March 30, 2017)

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 「来年のことを言えば、鬼が笑う」とは、江戸庶民の間に広まったことわざ。これは、軽々に将来のことを決めつけないようにとの戒めでもある。
 しかし、出まかせの、当てずっぽうとは違い、合理的な計算法とデータに基づく「予測 (forecasting)」は科学 (science) だ。

 BBC の reporter Mr Mirian Quick は、100年後の未来社会を次の 5つの数値で浮き彫りにする。

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1.8,300万人:1年間の世界人口増
 世界の総人口は、1 年前に比べて 8,300万人の増となった。これはドイツの国が新たに地球上に現われたようなもの。現在、地球上には 75億の人間が暮らしているが、国連の予測によると、世界の人口は少なくとも 2050年まで増え続け、2010年には、現在の 1.5倍に当たる 112億人に達すると見込まれている。

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2.42歳:世界の平均年齢
 人間が長生きし、子どもが少なくなったせいで、平均寿命は延びた。1950年代、50歳の誕生日を迎えることができる人は、世界で限られていた。当時の平均年齢 (average age) は 24歳。「世界の平均寿命 (average global life expectancy)」は、この 60数年間で 22歳も伸び、今日はほほ 72歳。この数値は、2100年になると、83歳以上に引き上がり、世界の平均年齢は 42歳になると見込まれている。
 そのときの人口ピラミッドはミツバチの巣箱 (beehive) のようにズングリ型になる。
 
3.66%:世界の人口が都市に集中する割合 (2050予測)
 今後、世界の人口は都市部に集中し、1千万人以上の人口を抱える大都市 (megacities)の数は、2030年に 41を数え、2050年には世界総人口の 2/3 に相当する 63億人が都市圏(urban area) に住むようになると予想されている。
 市街地が無秩序にドンドン拡大する「スプロール現象 (suburban sprawl)」をいかに食い止めることができるか。これが都市計画の重要な課題になっている。

4.664%:過去5年間の太陽光発電量の伸び率
 現在、人類が消費するエネルギーの 86%は化石燃料に依存し、再生可能エネルギーの割合は約 10%。しかし、世界の太陽光発電量は、2010年から 2015年の5年間で 7.5倍に増加し、今後さらに風力・太陽光発電の重要性は増すものと見込まれている。
 これらの発電に適した土地を有する国にとっては、益々有利に働くと考えられる。

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5.47%:ロボットに置き換わる作業
 Oxford 大学の調査によると、現在の USA の仕事の約半数は、すぐにでも人間に代わってロボットあるいはコンピュータに仕事をさせることが可能。
 とりわけ、Telemarketers (電話勧誘販売)、 accountants (経理)、taxi driver (タクシードライバー) は、ロボット化が容易だ。
 これに対して、creativity (創造性)、manual dexterity (手先の器用さ)、empathy (共感)が求めらる仕事は、これからも人間が担うことになるものと考えられている。

 カレル・チャペック1920年戯曲「ロボット」を発表し、「ロボットが人間を幸せにするのか」を世に問うた。
 将来、知性と倫理性はロボットに劣り、けれど富と権力を有するものが、ロボットを自分の利益や儲けるために使うとすれば、やがてロボットは人間の仕事を支配し、人間の心まで支配するようになるはずだ。

                    (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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べーリンジア:氷河時代、人類が偶然に見つけた理想郷 (BBC-Earth, March 30, 2017)

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 これは、人類の壮大なドラマだ。

 地球の「最後の氷河期 (the last Ice Age)」は、数万年間続いて、今から約 1 万年前に終わったとされる。その頃は Siberia (シベリア) はもちろんのこと、南北アメリカ大陸は分厚い氷床 (ice sheet) に覆われていた。ただし、氷河期には海面が下がったため、シベリアとアラスカの間は「ベーリング陸橋 (the Bering Land Bridge)」すなわち「Beringia (べーリンジア)」でつながっていた。

 その面積は Texas (テキサス州) の 2 倍の広さで、シベリアに比べて寒さも凌ぎやすく、海に挟まれていたせいかジメジメとしていて灌木 (shrubs) が茂り、大型の「草食動物 (grazing mammals)」も生息していた。
 最後の氷河期がピークに達した約 2万年から 2万 4千年前、獲物を追って移動を続けていた人類は、偶然に、この Beringia (べーリンジア) に足を踏み入れたと考えられる。
 Beringia は、草食動物にとっても人間にとっても、氷河時代にあっては理想的な環境であった。人類は、灌木を燃やして暖をとり、狩りに出かけることができた。その後、数千年から約 1万年の間、この地で停留 (standstill) することになる。

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 やがて氷河期が終わりに近づき、北米大陸の氷河が後退 (retreat) すると、人類はBeringia から移動を始め、北米全土に広がって、最初の北米大陸居住者「Clovis people(クローヴィス人)」となる。
 クローヴィス層から発見された 12,300年前の「1 歳の子ども (Clovis boy)」の骨は驚きの事実を表わす。2014年、遺伝子解析の結果、現在、北米大陸に暮らす先住民(indigenous American) の 80%に共通する遺伝子だった。このことは、ごく小さな狩猟グループが北米大陸に渡ったことを意味する。

 一方、14,500~18,500年前の石器が、チリの南「Monte Verde (モンテ・ヴェルデ)」で発見された。おそらく、大陸を覆っていた氷河を避け、太平洋沿岸に沿って南に下ったグループがいたとものと推測されている。

 なお、北米の先住民は、オーストラリア、ニュージーランドアンダマン諸島の先住民と共通した遺伝子パターンを持っていることが知られている。
 どうやら、シベリアから Beringia に渡った人類は、氷河が後退するにつれて、何万年も掛けて南下して行ったと考えられる。ただし、一度、シベリアを離れた人類は、二度と、その足を北に向けることはなく、ひたすら南に向かう旅「one-way-journey」を続けた。
                    (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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ごまかし・捏造:イギリスの大学でこれをやる人、隠す人 (BBC-Science & Environment, March 27, 2017)

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 精錬潔 白(integrity) とは、心が澄みきった泉のように清く、私欲を捨て、決して不正を働かないこと。大学は学問を究める場であり、その目的は、清廉潔白で倫理観に溢れた人間を育てることにあるはずだ。

 学生が、授業の課題レポートの作成に、「copy & paste」や翻訳ソフトを使い続け、勉学の基礎固めを怠っていると、やがて追い詰められ、心は薄汚れて、正直 (honest) も素直 (forthright)、倫理 (ethic) も失いかねない。

 イギリスで公表された研究論文の不正疑惑 (allegations)は、2012 - 2015年の 4年間で約 30件。しかし、この数値は余りにも少なすぎる。
 そこで、BBC が「Freedom of Information rules (情報公開法)」に基づいて、イギリスの Russell Group を構成する 24大学について調査した。Russell Group (ラッセル・グループ) 大学とは、世界最先端の研究開発に携わるイギリスのトップグループ重点モデル大学。

 その結果、その著名な 24大学中 23大学で、2011 - 2016年の 6年間で 300件を越える研究の不正疑惑が報告されていることを突き止めた。盗用 (plagiarism)、捏造(fabrication)、著作権侵害 (piracy)、不正行為 (misconduct) などが確認された。この内、疑惑の論文の約 1/3は是認され、30件以上の論文が撤回されていた。

 これに対して Russell Group の報道官は、次のように述べる。

"Our universities take research integrity seriously and work continuously to help staff and students maintain high standards of research."
[ 私どもの大学は研究公正を厳格に遵守し、教員・学生が高度な研究規範を維持できるように常に働きかけている。]

 しかし、これは、科学に対する国民の信頼を失いかねない由々しき事態と判断され、英国下院議会科学技術委員会 (The House of Commons Science and Technology Committee)」も調査に乗り出した。

 業績第一主義の風潮にあって、大学の研究者は「論文の発表数」と「研究助成金(grants) の確保」の両面から強いプレッシャーを受けていることは事実だ。過去10年間で、不正疑惑で撤回された論文数は 10倍に膨れ上がった。

 データの捏造などの不正行為が多発している原因を、研究者の置かれた状況のせいだけにすることはできない。「Retraction Watch」の blog創設者の一人 Dr Ivan Oranskyが指摘するように、そそもそも大学、助成機関 (funding agencies)、監視団体 (oversight bodies) が、不正を知っていながら、これを隠して開示しない姿勢にある。
 なお、BBC が調査した結果について、イギリス全大学の副総長 (vice-chancellors) を代表する団体「Universities UK」にコメントを申し込んだところ、回答は拒否されたという。
                    (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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こんなに違うって!:低温殺菌牛乳と超高温殺菌(UHT)牛乳 (BBC-Future, March 27, 2017)

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 Pasteurisation (低温殺菌)は、「Louis Pasteur (ルイ・パスツール [1822-1895] ) に因んで、名付けられた殺菌処理法で、結核菌 (tuberculosis bacteria) を死滅させる目的で開発されたもの。牛乳を72℃で15分間熱処理することを指す。(なお、日本では、63-66℃30分間の殺菌処理牛乳が低温殺菌牛乳として販売されている。)

 この殺菌処理では、人間の健康を害しない多くの細菌が牛乳内に生き残り、牛乳本来の風味とまろやかな味が楽しめる。ただし、その保存期間は、冷蔵庫に入れても、せいぜい 10 - 15日が限度だ。とくに、一度、開封したら、できるだけ早めに使い切る必要がある。
 USA、オーストラリア、ニュージーランドで販売されている牛乳のほとんどは、低温殺菌牛乳だ。

 

 これに対して、ヨーロッパで販売されている超高温殺菌 (ultra-heat treated, UHT) 牛乳とは、140℃で 3秒間(日本では 130℃で 2 秒間)の殺菌処理を施したもの。この処理によって、牛乳の全ての細菌およびその胞子 (spores) は完全に死滅し、パック内はほぼ無菌状態 (sterile) になる。無菌ゆえに、開封しない限り、腐敗 (spoilage) も起こらない。室温 20 - 30℃で数ヶ月は保存できるという。

 ただし、高温の熱を加えることによって、メイラード反応 (Mallard Reaction) が起こり、牛乳の乳漿タンパク (whey proteins) は変質している。さらに酵素 (enzyme) が分解して硫化化合物 (sulphur compounds) が形成され、一時的に腐卵臭 (eggy stench) が付く。
 なお、UHT牛乳が低温殺菌牛乳よりも白っぽく見えるのは、この硫化化合物とバラバラになった乳漿タンパクが光を反射させるためだ。
 また UHT牛乳からチーズをつくるのは難しい。すでに乳漿タンパクが変質し、分散しているため、なかなか「curd (凝乳)」にならないのだ。

 なお、中国ではこの 4,5年、UHT牛乳の需要が、毎年 10%の伸びで急上昇しているとか。
        (写真は添付News関連の [BBCーFuture, July6,2015 News]から引用。)

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ウーバーの自動運転車が衝突事故:蜂の一刺し? (BBC-Technology, March 24, 2017)

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 タクシー配車アプリサービス (the car-hailing app service) が売りの Uber (ウーバー) の勢いは、止まらない。
  ウーバー社は、昨年12月、アメリカ陸運局 (the Department of Motor Vehicles, DMV) の認可を待たずに自動運転車を走らせ、当局から警告を受けていた。しかし副社長のAnthony Levandowski はこれを無視し、突っ張って Arizona, Pennsylvania, Californiaの3 州でテスト走行を繰り返していた。

 ところが、3 月 24日 (金)、そのウーバーの自動運転車がアリゾナ州の公道で衝突事故を起こした。幸い、この事故で負傷者はでなかったものの、ウーバーの「Volvo SUV」は横倒しになり、衝突した相手の車も後部が大きく壊れた。

 USA南西部 ArizonaのTempe (テンペ) の警察報道官 Ms Josie Montenegro によると、事故の原因は、左折しようとしたウーバーの自動運転車を、ドライバーがかわせなかった (fail to yield)」ため。

"There was a person behind the wheel. It is uncertain at this time if they were controlling the vehicle at the time of collision."
[ ウーバーの車の運転席には人が乗っていた。衝突事故が起きたとき、運転していたのは同乗者だったのか、現時点でははっきりしていない。]

なお、
"Uber's self driving cars always have a human in the driving seat who can take over the controls."
[ ウーバーの自動運転車では、車をいつでも制御できるように、運転席に人が座っている。]

  この事故を受けて、ウーバー社は Arizona (アリゾナ州) を走る自動運転車のテスト走行を中断 (suspend) し、続いて Pennsylvania, California におけるテスト走行も中止した。

 ウーバー社では職場・倫理問題、グーグルの訴訟、トップの Jeff Jones はじめ幹部(executives) の退社など「不名誉な出来事 negative stories」が慌ただしく(tumultuous)続いた。蜂に刺されっぱなしの Anthony Levandowski は、どこまでがんばれるだろうか。

                (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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古来、風邪は風が原因:アルプスのフェーンも疫病神か? (BBC-Science & Environment, March 24, 2017)

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 上古の時代、風は「志那郡比古神(シナツヒコ)」が起こすとされた。その風は邪気をはらむとも信じられ、風邪や中風の原因は風にあると考えられた。
 また、初夏から夏に掛けて奥羽山脈の西側から麓に吹きおろす風は、冷たく湿っていて、山背(やませ)と呼ばれた。山背はたびたび稲作に深刻な冷害を引き起こし、東北の農家に恐れられた。

 一方、ギリシャ神話では、風(wind)は全能の神ゼウスが引き起こすと考えられていた。
 その風が、海から内陸に向かって吹き、アルプスの分水嶺(divine)を越えて、スイスの谷に吹き下ろすとき、風はFoehn(フェーン)と呼ばれた。乾燥した暖かい風が、ときに風速150km/h (42m/s)で吹き荒れ、真冬でもフェーンの谷は20℃になった。

 アルプスの麓(ふもと)に暮らす人にとっては、フェーンは全く「頭の痛い」話。
 フェーンが吹くと気分が沈んだり、頭痛(headaches-)や関節痛(joint pain)で悩まされる人が続出する。
 そこで、BBC World Service Programの「Crowd Science (みんなの科学)」班は、風によって本当に健康が損なわれるのか、調査した。

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 スイスの薬剤師 (pharmacist) Mr Daniel Wechslerは、その時期になると、多くの人に「フェーンの関連する疑いの強い症状 (alleged Foehn-related symptoms)」が現われるので、フェーン現象と健康との関連性は高いと見る。
 
 しかし、神経学が専門で「The Swiss Headache Association (スイス頭痛協会)」会長の Dr Andreas Gantenbein の意見は違う。「フェーンを含む風が頭痛を引き起こす」という主張については、科学的な証拠 (scientific evidence) が全くないとする。

 さらに、「Switzerland's Federal Office of Meteorology, MeteoSwiss (スイス連邦気象局)」の Mr Ludwig Z'graggenは

"The historic belief that the Foehn causes headaches, combined with modern weather forecasts which warn that it is on the way, may also be a factor."
"People get headaches when they hear the Foehn in coming."
[ 頭痛はフェーンがもたらすもの、とする古くからの言い伝えに、天気予報の発するフェーン警報が重なって、頭が痛くなっていることも考えられる。]
[ フェーンがやって来ると聞いただけで、みんな頭痛になるのだ。]

 したがって、この件に関する結論は、研究者の間でも意見が分かれた。

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 これとは別に、
"When that dry warm wind blows, it sucks all the moisture out of the air, meaning the visibility is uncannily clear. On a Foehn day, the Eiger, a good 60km from the Swiss capital, Berne, looks close enough to touch."

[ その乾燥して暖かい風が吹くと、空気中の湿分は全て風に吸い取られてしまう。すると、空気が澄んで、不思議なほどに見通しがよくなる。フェーンが吹きつける日は、「Eiger (アイガー, 標高 3,970m)」はスイスの首都 Berne (ベルン) から 60 kmも離れているのに、まるで手が届きそうなくらい、近くに見える。]

 スイスのフェーンはどうやら、単なる疫病神でもなさそうだ。

                (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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若返り新薬の研究開発に成功:販売はいつ? (BBC-Health, March 23, 2017)

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 人は 20歳前後を過ぎると、免疫力が低下し、目、肌、関節などに支障が出やすくなる。これは、複雑なシステム系がたどる故障率の時系列変化 (bath-tub curves) に合致する。

 これまで、どれほどの人間が病気に罹らないことを祈り、過ぎた青春を悔い、そして若返りを願ったことか。その切なる願いの強さは、昔話「若返りの水 (関敬吾編:日本昔ばなし、岩波文庫)」をはじめ、多くの「若返りの水、泉」の類話が日本各地に伝わることからも、うかがい知ることができる。

 さて、人の一念は恐ろしいもの。どうやら、「若返りの薬」がついに完成したようだ。
 オランダ「Erasmus大学医療センター」の Dr Peter de Keizerらの研究チームが、失敗を繰り返しながらも、衰えた肝機能を修復し、運動機能を飛躍的に高める新薬の開発に成功した。この新薬は次のように説明される。

"The approach works  by flushing out retired or 'senescent' cells in the body that have stopped dividing."
"They accumulate naturally with age and have a role in wound healing ad stopping tumours."
"But while they appear to just sit there, senescent cells release chemicals that cause inflammation and have been implicated in ageing."

[ この新薬には、体内で細胞分裂が続かなくなって、役目を終えた細胞すなわち老化細胞を洗い流す働きがある。]
[ 加齢に伴って老化細胞が体内に蓄積されると、割傷治癒やガン細胞の生長を妨げる役目を果たすようになる。]
[ しかし、そのまま老化細胞が居座り続けると、炎症の原因となる化学物質が分泌されるようになり、それが老化に深く関与していることが知られている。]

   Dr Keizer らは、寿命の迫ったマウス (マウス年齢 90歳) に、開発した若返りの新薬を週 3 回投与し、ほぼ1年にわたって臓器、運動能力などの変化を調べた。この結果、肝機能の他に毛皮まで若返り、回転リングで走り続ける運動量も 2倍になった。「よぼよぼマウス」は、スタミナのある「元気はつらつマウス」に生まれ変わったのだ。

 ただし、人間に対しても効き目があるかは、試してみないとわからない。まさに、
"The proof of pudding is in the eating."
[プディングのできぐあいは、食べてみないと分からない。論より証拠。]

エルムス大学の研究チームは今後、臨床実験 (human trials) で、若返り効果を立証する予定だ。なお、詳細な研究内容は医学雑誌「Cell」に発表された。
 この論文に対して、イギリスの「King's College London 」の幹細胞 (stem ) 研究者Dr Dusko Ilic は、疑問が残るものの、

"The finding is impossible to dismiss."
[ 今回の若返り新薬の発見を不可解なものとして撥ね付けるのは、無理。]

 いつか、オランダ特許の若返り薬が、世界中で爆発的に売れる日が来るかも知れない。

                (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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