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乳ガン検診「マンモグラム」:女性の迷い、医者の迷い (BBC-Health, November 20, 2017)

https://ichef-1.bbci.co.uk/news/768/cpsprodpb/7D4F/production/_98797023_gettyimages-170620296.jpg

 ものごとには、たいてい「いい面とわるい面 (the pros and cons)」がある。乳ガンのX線検診「mammograms (マンモグラム)」とて例外ではない。確かに、初期ガンの発見に「有効(benefits)」だが、「不利益(harms)」もある。
 「radiation exposure (放射線被曝)」は、一部の医療関係者がどんなにその影響は少ないと、無責任に「がんばった」ところで、長期にわたる被爆リスクをゼロにはできない。また、治療が必要ではないのに医者が治療に走ってしまう「overdiagnosis (過剰診断)」も起こる。たとえば「ductal carcinomira in situ. DCIS (非浸潤性乳管ガン)」は他の細胞に転移しない。転移しないガンの出現確率は全体の 1%~10%。

 しかも、「American Cancer Society (アメリカ癌協会)」は、次のように指摘する。

"Doctors can't tell cancers from those that will grow and spread."
[ (現在の医学では)医師はそのガン細胞が転移して広がるガンなのか、それとも転移しないガンなのか判断できない。]

要するに、「mammograms」には「benefits (利益)」と「harms (不利益)」がある。それなのに、患者が乳ガンに関する十分な知識もその医療知識もないのに、医者は「どうしますか」と「治療・手術」の判断を患者に迫る。

"It saves lives by helping detect beast cancer at an early stage, but harms include some women being diagnosed with a cancer that would never caused being them problems in their lifetime."
[ マンモグラムは乳ガンの早期発見に役立ち、多くの生命を救っている。しかし、そこには、生涯にわたって何ら問題を起こすことのない女性に対しても、ガンと診断してしまう医学上の不利益が存在する。]

 そのため、一般には、乳ガン検診の利益が不利益を上回る (overweigh) ように、検診間隔 (time intervals)」が設定され、イギリスでは 50-70歳の女性に対し、3年に 1度の「mammograms (マンモグラム)」検診が推奨されている。
 ただし、家系に乳ガンが多い (strong family history) 人や肥満タイプの人は、短期間で腫瘍が増殖するので注意が必要だ。

 スウェーデンの「The Karolinksa Institute (カロリンスカ医科大学)」のDr Fredrik Strand らの研究グループは、2001年から2008年にかけて乳ガンを発症した女性患者 2,012人について入念に調査した。患者は 18ヶ月から 2年間隔で乳ガン検診を受けていた。

 Dr Strandらが注目したのは「BMI (体格指数)」と「tumour sizes (ガン腫瘍の大きさ)」との関係。その結果、BMI値が高いほど、乳ガン発見時の腫瘍が大きくなる傾向を突き止めた。なお、研究の詳細は「Radiological Society of North America, RSNA (北米放射線学会」年次総会 (2017/11.26-12.1)にて発表予定。

この原因として、肥満の女性は、胸 (breasts) が大きくて腫瘍が見つかりにくいこと、さらに、ガン腫瘍の増殖スピードもはやいことなどが考えられるという。

 このことから、Dr Strandらは、BMI値が高い人には「mammograms (マンモグラム)」による検診回数を増やすようにと提案する。

 しかし、「Cancer Research UK」の Ms Sophia Lowes はこの提案に懐疑的だ。「BMI値が高いからと言って、では、どれだけの検査間隔で「mammograms」を受ければいいのか、その明確な根拠 (evidence) が示されていない」と指摘する。

 乳ガンの「mammograms」検診に限っても、最先端医療を走る専門家の間でさえ意見が分かれる。そして「治療の必要のない乳ガン」と「治療が必要な乳ガン」との区別が付かない医者。このような状況で、患者は「だれにその命運を託すことができる」と言うのだろう。
 病気で苦しむ人にとって医学の進歩は余りにも遅く、患者は常に「迷い」のなかに置かれる。

                  (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com