楽しい気分にしてくれること間違いなし:それが1杯のビール! (BBC-Health, September 19, 2016)
今年はじめ、イギリスNHS (国民保健サービス) は、アルコールの摂取基準を提示した。そのお薦めは、「1 週間に 14ユニット以上のアルコールを飲まない方が良い」。
ここで 1 ユニットとは
"One unit equals 10ml or 8g of pure alcohol, which is around the amount of alcohol the average adult can process in an hour."
[ 1 ユニットは純粋アルコール 10ml (8g) を指す。この値は、平均的な大人が 1時間に分解できるアルコール量にほぼ等しい。]
したがって、14ユニットは、中ジョッキ (568ml) で 6 杯分のビール (アルコール度4%)、あるいは小さなワイングラス (125ml) で7杯分のワイン(アルコール度11.5%)、さらにアルコール度 40%の蒸留酒 (spirits) になると、shot glass と呼ばれる小さなコップ(25ml) で 14杯分のアルコール量に相当する。
それ以上、アルコールを飲むと、飲んだ分だけ、ガン (とくに乳ガン) の発症リスクが、高まる。
しかし、洋の東西を問わず、酒は「社会の潤滑剤(social lubricant)」とも言われてきた。
では本当に、「alcohol (酒)」に「潤滑剤」の効果があるのか。この問題に、本気で取り組んだ科学者がいる。スイス「Universitätsspital Basel (バーゼル大学病院)」のMatthias Liechti 教授らの研究チームだ。
実験では、男女同数の被験者 60名にジョッキ 1 杯のビールを飲んでもらい、その後、「顔認識 (face recognition)」、「共感 (sympathy)」、「性的興奮 (sexual arousal)」などに関するテストを実施した。
その結果、ビールを飲むと気分が高揚し、みんなと楽しく、おしゃべりして、開放的になりたいと思う気持ちが高まることがわかった。人はアルコールが入ると、自分と同じように楽しくしている顔の仲間を探し出す。仲間との共感も芽生え、また、その昔、「天岩戸 (あまのいわと)」の前で催された宴会の踊り子のように、「explicit sexual content (エロチック」になるという。
これで、昔の人が、どうしてお酒を前向きに捉えたのか、その理由が明確になった。
ただし、現代人にとって、もっとも難しいのは、ジョッキ 1 杯のビールでアルコールを留め置くことか。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)