コレステロールを下げる錠剤スタチン:そんなに飲んで大丈夫? (BBC-Health, September 8, 2016)
「コレステロール降下剤 (cholesterole-reducing drug)」のスタチン (statins) は世界中で使用されている。Oxford 大学 Rory Collins 教授らの調査によると、イギリスでは現在約 600万人がこれを服用し、その内の 200万人は心筋梗塞(心臓発作)、脳卒中、心臓血管系イベントの治療目的で使用し、残りの 400万人は高齢化、高血圧、糖尿病などのリスクを抱えた人だ。これに加えて、スタチンの服用が勧められる人は、さらに約 200万人もいるという。
イギリスの人口は 6,511万人。これでは、国民のおよそ 8人に 1人がスタチンに頼ることになる。
"Stains reduce the build-up of fatty plaques that lead to blockages in blood vessels."
[ スタチンは脂質血小板の生成を低下させ、血管が閉塞しないようにする薬。]
しかし、スタチンの臨床効果の検証は十分か、またその副作用 (side-effects) はどのようなものか。これらの点を明らかにするため、Collins 教授らは、これまで医学雑誌「The Lancet」に掲載された複数の論文を精査 (review) し、1つの結論に達した。
なお、調査の対象は、スタチンを 5年以上にわたって毎日平均 40mg服用した患者 1万人のデータ。ここから、「available evidence (検証に利用できる証拠)」を抜き出した。
"It suggested that cholesterol level would be lowered enough to prevent 1,000 'major cardiovascular events', such as heart attacks, strokes and coronary artery bypasses in people who had existing vascular disease - and 500 in people who were at risk due to age or other illnesses such as high blood pressure or diabetes."
[ その結果、血管疾患を患う患者 1,000人については、スタチンの服用後、コレステロール値が下がり、主な冠動脈イベント(心筋梗塞、脳卒中、冠動脈バイパス疾患など)の発症を食い止めた可能性が認められる。
また、高齢化や高血圧、糖尿病などの病気が原因で、コレステロール値が危険レベルに達していた患者500人についても、その値が安全域に低下した可能性が認められる。」
ただし、調査した1万人の患者には、副作用と思われるものも50~100件程度発生し、その中には、「muscle pain (筋肉痛)」なども含まれる。
このスタチンの「adverse events( 有害イベント)」については、Dr June Raine のように、「大多数の患者にとってスタチンの薬効はその副作用のリスクを上回る」と指摘する科学者も存在する。
ところが、British Medical Journal の editor、Fiona Godlee氏は、Collins 教授らが下したスタチンの結果に慎重な立場をとる 1人。
"This is especially important in view of the guidance which recommends that large amount of healthy people should take a tablet every day."
[ このレビューは、とりわけガイダンスに重点が置かれ、多くの健康な人も毎日スタチン1錠を飲むようにと勧めている。]
さらに Dr Assem Malhotra は、「薬剤業界がスポンサーとなって実施された、スタチンの副作用の研究結果には、信頼性に疑問が残る」と指摘し、次のようにも述べる。
"And a lot of the scientists involved in the original studies were involved in this review. It is not an independent review."
[ また、データの出所となったオリジナル論文の多数の著者が、このレビューの著者として名を連ねている。これでは、独立した公平なレビューにはならない。」
(写真は添付のBBC Newsから引用。)