ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

英国サイダー:リンゴ酒300年の歴史を守れ! (BBC-News, January 27, 2016)

http://ichef.bbci.co.uk/news/736/cpsprodpb/E97C/production/_87927795_ciderapples976_getty.jpg

 子どもの頃、サイダー (soda pop) は夏の定番の飲み物だった。夕涼みどきに、蚊取り線香を燻(くゆ)らせ、縁側に座って飲むサイダーは格別だった。
 ところが、英語の「cider」は、少し意味が違う。イギリスでは「リンゴ酒」のことを指す。その語源はヘブライ語「seckhar」に由来し、「strong drink  (強い酒)」の意味だ。それは無理もない。COD は次のように「cider」を定義する。

"an alcoholic drink made from fermented apple juice (also sweet drink)."
[ アップルジュースを発酵させて造ったアルコール飲料 (sweet drink とも言う)。]

 しかし、紛らわしいことに、大西洋を挟んだ北米では「cider」が「apple cider」を表わし、「juice squeezed from apples (リンゴを搾った生ジュース)」となるので、注意が必要だ。

 さて、イギリスの気候は、フランスやドイツ、イタリアと違い、ブドウの栽培に適さない。そのため、古くから庶民の間では、リンゴ酒 (cider) がワインの代わりに飲まれた。1700 年代は、リンゴの木が改良され、種々の品種が現われて栽培された時代であった。

 そして、時が過ぎた。

"The National Trust said 90% of England's traditional orchards have disappeared in the last 60 years, with older varieties often uprooted and the land used for development."

[ イギリスの自然保護団体ナショナル・トラスト」によると、過去 60 年間でイギリスの伝統的なリンゴ園の 90% が土地開発の対象となって消え、それに伴い、古くから栽培されてきた品種のほとんどが失われてしまった。]

 現在、リンゴの栽培総面積は 7,001 hectares、リンゴ酒の製造に回されるリンゴは250,000 tonnes に過ぎない。この状態を Bristol 大学の Dr Richard Stone は懸念し、次のように語る。          
" The best ciders are a blend so by having 300 different applies to choose from, you have got so many possibilities there."

[ リンゴ酒の最高の味は、選び抜かれた 300 種の「リンゴっこ (applies)」をブレンドすることによって醸し出され、飲む人に色々な味の楽しみ方を与えて来た。]

 しかし、なにせ、古い品種のリンゴは収穫量が少ない。そのことも、果樹農家から敬遠されて来た理由の一つだった。
 Mr Henry May は、消えゆくこれらの貴重な品種を 25 年以上も前から各地に出向いて採取し、「接ぎ木 (graft)」によって育て、守り抜いて来たという。

 この度、Mr May の活動が「The National Trust」に引き継がれ、Somerset、Dorset、Gloucestershire、Devon、Herefordshire など、イングランド南西部の各州でも、古い品種のリンゴ「The Summer Stibbert」等の苗木が植えられた。7 年後の収穫が期待されている。
 
 今宵は、月見をしながら British Cider にほろ酔う。それも粋(いき)。
 
                                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com