ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

ヒ素を含む流通米:コーヒーフィルターで濾過すると安全 (BBC-Magazine, July 23, 2015)

http://ichef-1.bbci.co.uk/news/736/cpsprodpb/88DA/production/_84443053_ricehand-cut.jpg

 稲は優れた作物だ。雨の多いアジア一帯で、1万年から数千年にわたって、人類の生命を支え、その文化を育ててくれた植物とも言える。かって、茶碗に盛られたご飯は、一粒も残さないように、ありがたく戴くことが、当たり前の食事作法であった。なにしろ、明治維新以前には、石高(こくだか)で大名やその家来の身分が決められていたのだ。コメはありがたいもので、封建社会の基準であった。

 稲は土壌中の養分を吸収し、気候が温暖な地方では、どんどん成長する。このとき、カドミウムヒ素などの重金属も組織内に取り込む。イギリス、日本で規定されるヒ素の農産物許容濃度は1 mg/kg(1.0 ppm)。また、EUでは現在のところ、食品中のヒ素最大許容濃度が設定されていないが、提案され、審議中の基準値(proposed Europe-wide limits)は、成人が0.2 mg/kg(0.2 ppm)、子供が0.1 mg/kg(0.1 ppm)。

 ところで、TV「Channel 4」のドキュメンタリー番組「Dispatches」プログラムが、調査したところ、イギリスで生産されるコメの58%が「EUの新基準」を超えていることが判明した。
 ヒ素は、膀胱ガン(bladder cancer)、肺ガン(lung cancer)の発症リスクを高め、神経組織の損傷を招く。とくに、赤ちゃんや子供には影響が大きいとされる。

 当然のことながら、イギリスの「コメ協会(The Rice Association)」は、反駁(はんばく)を開始する。「コメ業界が、イギリスで販売されているコメのサンプル数1,000件以上について調査した結果では、新基準に満たなかったものは1%以下だ」、と主張。

 さて、消費者はどうすればいいか。
 Queen'大学BelfastのAndy Meharg教授(植物・土壌科学)は、ユニークなヒ素除去法を開発し、学術雑誌「PLOS ONE」に発表した。その方法とは、ドリップタイプ(drip-brewer)のコーヒーフィルター(coffee percolator)で、コメを濾過(percolate)、洗米(prepare)すること。
 市販のコーヒーメーカー(coffee percolating machines)は、10分サイクルでお湯がフィルター部に注がれる。そこで、白米(white rice)では20分間、玄米(brown rice)では40分間、コーヒーメーカーのスイッチを入れておく。この方法で、コメに含まれる無機ヒ素(inorganic arsenic)が85%除去できるという。

 さらに、Andy Meharg教授は次のように述べる。
                                                 
"If you are eating rice two or three times a week, it's fine. If you are eating rice two or three times a day you should be worried."

「おコメを週に2,3回しか食べない人は、問題なし。けれど、毎日の食事で、3食あるいは2食がご飯の人は、要注意。」

 なお、英国「食品基準局(The Food Standards Agency)」は、「4歳半以下の子供には「ライスミルク(rice milk)」を与えないように」、と勧告する。

 コメの重金属汚染の問題は、原子力開発に似る。ごくごく一般人の少々批判的な意見に対し、ときに、業界は、過剰な反応と、無理、無謀、不合理、理不尽な「反駁」で対応することが少なくない。ここは冷静に知恵をしぼり、合理的な対応策を考えるべきだ。
                               (写真は添付のBBC Newsから引用)
 

www.bbc.com