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肥満:減量は望み薄す (BBC-Health, July 17, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/736/cpsprodpb/14C81/production/_84312158_thinkstockphotos-492545187.jpg

 「obesity(肥満)」の形容詞「obese」の語源は、ラテン語「obesus」に由来する。そのobesusとは「太るまで食べた(having eaten until fat)」の意味(典拠COD)。

 そもそも、一旦肥満になると、正常な体重に戻れなくなるのか、それとも、医師の指導のもとに何らかの治療を受けると、戻れるのか。この点が、一番気になるところだ。

 London大学(King's College London)がイギリス人 肥満者男女278,982人の肥満治療と体重記録(2004~2014年の過去10年分)を調査し、その研究結果を「The American Journal of Public Health」に発表した。

 肥満治療(treatment)では、とにかく体重がそれ以上増えないようにし、さらに、わずかながらも減量につなげることに重点が置かれる。そのために取られる手段(options)が、摂取カロリーの制限(cutting calories)と運動の奨励(boosting physical activity)という。

 肥満度BMI (Body Mass Index)」の計算式は、BMI=[体重kg]÷[身長m]2乗。
 イギリスでは、BMI 30~35が肥満と見なされ、BMIが40~45になると、「病的肥満(morbid obesity)」と診断されて、医学的な治療が必要になる。
 ちなみに、日本では、BMI 18.5~25が正常な範囲で、25の値を超えると肥満となる。

 さて、London大学の調査結果には、唖然とする。その原文である。

The chance of returning to a normal weight after becoming obese is only one in 210 for men and one in 124 for women over a year, research suggests.

「一旦、肥満になると、その後、1年間で、正常な体重に戻る確率は、男性で0.48%、女性で0.81%」。

 統計学では、危険率1%は「ほとんど事象が起こらない」と判断される値。すなわち、医師(general doctors, GD)の指導のもとに実施された「肥満改善プログラム(weight management programs)」は、ほとんど、効果がなかったことになる。これが事実。

 調査した肥満者の8%~10%に、1年間だけ、体重の5%の減量に成功した例も認められたが、5年が経過すると、ほとんどの人は、元の体重に戻っていたという。

  現在の医療技術では 肥満に対する有効な治療も回復も望めないとすれば、「予防に頼る」他に手立てはない。この研究のリーダーDr Alison Fildesは、次のように提言する。

"The great opportunity for fighting the obesity epidemic might be in public health politics to prevent it in the first place at a population level."

「イギリスで肥満は「まん延(epidemic)」状態だ。この病態と戦うためには、肥満対策を「公衆衛生政策(public health politics)」上の最重要課題として、全国的に取り組む必要がある。今が、またとない機会に思える。」

 しかし太るものを、太るまで食べなければ、肥満(obesity)にならない。簡単なことだ。 ファースト・フードを遠ざけ、砂糖と塩をできるだけ抑えた食事を「ほどほどに」に摂る。それが、肥満(obesity)リスクを避ける一歩。

               (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com