ダイヤモンド隕石:かって太陽系にあった原始惑星の「成れの果て」! (BBC-Science & Environment, April 18, 2018)
隕石 (meteorites) は、時間を超越したメッセンジャーだ。それは、ほんの小さな石ころにしか見えないが、その内部には、宇宙の歴史情報がたくさん詰まっている。
2008年10月7日のことだ。地球に向かっていた「asteroid (小惑星)」が、大気圏に突入したかと思うと、スーダン北部の「Nubian desert (ナビブ砂漠)」上空約 37 kmで爆発し、粉々に砕けた破片 (1 - 10 cm)が辺り一面に散らばった。
このときの隕石は、たまたま、その近くにアラビア語で「Almahata Sitta」、すなわち「Station Six (6番駅)」を意味する駅舎があったことから、「Almahata Sitta meteorites (アルマハタ・シッタ隕石)」と名付けられた。
隕石を詳しく分析した「École Polytechnique Fédérale de Lausanne (スイス連邦工科大学ローザンヌ校EPFL)」のDr Farhang Nabielらの研究チームは、驚く。何と、隕石はダイヤモンドを包含する「ureilites (ユレイライト)」だった。
これは何を意味するのか。
地下奥部で、強力な圧力を受けて形成されるダイヤモンド。それは小さな天体で生成されることはない。およそ20 GPa (204,000 kg/cm2) の圧力がつくり出せる天体と言えば、少なくとも直径約 6,000 km以上、火星Mars (6,779 km) か金星Mercury (12,104 km)クラスの惑星となる。
つまり、今から約 46億年前に太陽系が誕生し、その後約10億年の間は、地球を含めて9つの「原始惑星 (proto-planets)」が太陽を周回していた。ところが、その間に、大型の「asteroid (小惑星)」が 1つの惑星に衝突した。この結果、太陽系にあったもう 1つの惑星はバラバラになり、小さな小惑星となってしまったと考えられるという。
ナビブ砂漠に落下したダイヤモンド隕石は、かって太陽系に存在したもう 1つの惑星の「成れの果て」だったのだ。
なお、Dr Nabielらの研究の詳細は、科学雑誌「Nature Communications」に発表された。
(写真は添付のBBC Newsから引用)