おまえもトランプか!:ややっこしい「トランプ」のはなし (BBC-News, January 18, 2017)
日本語で「トランプ」と言えば、英語の「cards」のこと。明治の始めの頃、日本人は、このゲームに熱中した西洋人が頻繁に「trump (切札)」と口にするのを耳にして、思い違いをし、「cards」をトランプとしてしまった。
また、「trump」には「trumpet (トランペット」の意味もある。
ところが、日本人には、さらにややっこしいことが起こりそうだ。もう一つ違った意味の「trump」が加わったのだ。それは、夜の闇の中を飛び交う小さな「蛾 (moth)」。その名も正式には「Neopalpa donaldtrump」とりっぱな呼び名がつく。
カナダの研究者 Mr Vazrick Nazari が、カリフォルニア州で新種の蛾を発見した。羽幅 (wingspan) が 1 cm強で、生息範囲はカリフォルニア州南部からカリフォルニア半島メキシコ領「Baja California (バハ・カリフォルニア)」。Mr Trump が、メキシコとの国境にどんなに高い壁を作っても、このtrump の越境は防ぎ切れないに違いない。
なお、このニュースは、第 45代アメリカ合衆国大統領就任式前のこと。したがって President Trump は Mr Trump と記述される。
驚いたことに、なんと新種の蛾の頭は、Mr Donald Trump によく似た「golden flake hairstyle (金髪の潰れた髪型)」をしていた。発見者の Mr Nazariは、その命名に当たって迷わず Trump の名前を採用することに決定。これで、少なくとも「生物学 (biology)」にはその名が永遠に残ることになる。
実は、Mr Nazari の思わくは別の所にあった。
この新種の「Neopalpa donaldtrump」の出現を機に、Mr Trump が「脆弱な生態系 (fragile ecosystems)」に目を向けて、「環境保護の問題 (ecological issues)」をその政策の優先課題に取り上げてくれるようにと願うのだ。
しかし、「trump」には次のような「collocations (連語)」があることを忘れてはいけない。
・come up trumps : 気前がいいところを見せて人を驚かす
・trump up : でっち上げる
・turn up trumps : 思い通りに事が運ぶ
・hold trumps : 奥の手がある
さらに「trump」を吹くと言えば、
・blow own trumpet : 自画自賛する
いや、なに、これは全て語学上のはなしだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)