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「善玉」と「悪玉」のコレステロール:それは光と影? (BBC-Health, March 11, 2016)

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 光と影が切っても切れない縁にあるように、世の中には、善と悪がある。善と呼ばれる人がいるならば、その対局には悪が存在してきた。人間にとって「悪」となるような「悪魔」、「悪人」、「悪徳」などをこの世から一掃したいが、それがこんりんざい、無理なことは、これまでの歴史が示すとおりだ。

 さて、人の体を巡る血液の中には、細胞膜の素材となる脂質 (fat) の 1 種である「コレステロール (cholesterol)」が含まれている。このコレステロールにも「善玉」と「悪玉」があり、一般に、「高比重リポタンパク (High-density lipoprotein, HDL)」を善玉(good) コレステロール、「低比重リポタンパク (Low-density lipoprotein, LDL)」を悪玉(bad) コレステロールと呼ぶ。

 一口で言えば、LDL は肝臓で作られてたコレステロールを動脈 (arteries) の内壁に分配する「配達屋」で、HDL は、その動脈壁で余ったコレステロールを肝臓に戻す「運び屋」だ。ただし、

"A bloodstream tussle takes place between 'bad' cholesterol dumping fatty material in the arteries and good cholesterol taking it away."

[ 血液の中では、脂質を動脈の血管壁に運び込む悪玉コレステロール LDL と、これを運び去る善玉コレステロール HDL が、戦いを繰り広げている。]

  LDL と HDL の戦いのバランスが崩れて、LDL が余りにも優性になり過ぎると、LDL が血管壁に溜まり、今度は LDL と マクロファーゼとの戦いが始まる。その戦いは激しく、壁面に死骸を積み上げて、血液の通り道を狭くし、血管の弾力性も失われる。
 この結果、LDL 値が高い人には、動脈硬化の危険性があり、心臓疾患の発症リスクを高めることにつながるとされてきた。
   LDL は、このような事情から、悪玉の汚名を着せられるようになったのだ。

 では、HDL は本当に、いつも「善玉」なのか。
  
 Cambridge 大学の Adam Butterworth の研究チームが、「スタチン (statin)」を投与して、HDL を高める臨床試験を実施した。しかし、心臓病の発症リスクは下がらなかった。
 また、遺伝子 SCARB1 に変異 (mutation) が認められる人は、HDL が高いにもかかわらず、心臓疾患の発症リスクは、普通の人に比べて 80 % も上がっていることが分かった。これは、喫煙者とほぼ同じレベルの高いリスクだ。 

 一連の Cambridge 大学の研究から、HDL を高めることが、必ずしも心臓疾患の発症リスクの低減につながらないことが明らかになった。

 どうやら、結論がでたようだ。『今のところ、HDL を高め、心臓疾患の発症リスクを抑えるためには、薬に頼り過ぎずに、ナッツ類、アボガド、オリーブ・オイルや魚を摂取し、運動すること。』                                         
                                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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