ハーブエキス・サプリメント：偽り多い (BBC-Health, July 14, 2015)
栄養補助食品(food supplement)サプリメントの中に、ハーブエキスを売り物にする製品がある。
よく知られているのは、イチョウ葉エキス「Ginkyo」だ。しかし、BBCとLondon大学が共同で、販売されている「イチョウエキス」30製品について調べた結果に驚く。ラベルに記載された「フラボノイド」、「テルペンラクトン」などの成分が、全く含まれていないものが73％(22製品)、ほんのわずかながらも、とにかくエキス成分が確認できたのは、27％(8製品)だけ。
これは、単なる「製造ミス」、「手違い」の領域を遙かに超えた「うそ(lying)」のレベル。その「偽物サプリメント」はハーブエキスの種類によって「偽物度」が違う。マツヨイグサ(evening primrose)エキスのサプリメントでは、ラベル表示どおりの製品と確認されたが、オオアザミ(milk thistle)エキスの全ての製品については、ラベルに印刷された成分とは、全く異なる不可解な物資(unidentified substances)が検出された。
サプリメント成分の調査・分析には、分子構造を調べる「核磁気共鳴分光計(nuclear magnetic resonance spectroscopy)」と、特定の物質を検出できる「高速薄膜クロマトグラフィー(high performance thin layer chromatography)」が使用されている。
ハーブエキス・サプリメントは、「栄養補助食品(food supplement)」か「伝統ハーブ登録治療製品(Traditional Herbal Registration [THR]remidies)」として販売される。今回、調査したハーブエキス・サプリメント製品約70件の内、治療薬(remedy)扱いのTHR製品については、全て、ラベルに記載通りで、「虚偽」なし。
これに対して、「栄養補助食品」扱いのサプリメントの記載内容については、その信憑性にバラツキが認められた。
「THR製品（治療薬）」は「英国医薬品・医療製品規制庁(The Medicines and Healthcare Products Regulatory Authority, MHRA)」の規制・監督下にある。一方、「栄養補助食品」は、「英国食品基準局(The Food Standard Agency, FSA)」と地方自治体レベルの「取引基準局(Trading Standards)」によって監視されるが、製造メーカーに対する規制権限を持たない。
研究チームの責任者Michael Heinrich教授は、次のように指摘する。
I think some of the suppliers of food supplements are lying. In other cases i think they don't know what they're doing.
「ハーブエキス・サプリメントの製造メーカーは、噓をついているか、自分たちのやっていることに気づいていないか、のどちらかだ。」
何らかの医療事故・問題が起こらないと、行政が動かない体制は、イギリスも同じようだ。ハーブエキス・サプリメントのラベルの表示内容が「信用できない、デタラメ」だとすれば、消費者が、その製品を選択する際に、「基準・手がかり」とすべきは、「箱の色やデザイン」か「価格」のみとなる。これを理不尽という。
（写真は添付のBBC Newsから引用）
