ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

エジプト出土動物ミイラ:「偽物」の真相 (BBC-Science & Environment,May 11, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/624/media/images/82862000/jpg/_82862866_002.jpg

 古代エジプト人は、神々の姿を動物に似せた。民衆は神の世界との接点を求めて、神殿に赴き、動物のミイラを神に捧げた。それが、当時の慣習であったのだ。BC800年からローマ時代にかけて、その「しきたり」はピークに達し、ミイラの加工は工業規模で行なわれた。動物ミイラの数は7千万体に上ったと推定される。

 さて、ミイラの中身である。今から数千年前に、犬、猫、猿、ワニ、鳥(トキ)、などの動物が、大きく育つ前に殺されて、ミイラにされたが、その保存状態はこれまで十分に調査されて来なかった。そこで、イギリスのマンチェスター博物館とマンチェスター大学が共同プロジェクトを立ち上げ、これまで発見された800以上の動物ミイラをX線CTスキャン装置で調べることにした。表題の記事は、その調査結果について述べる。

 調査した動物ミイラの約1/3は骨格の形が良好に保存されていた。また、約1/3には動物の一部の骨が見つかるが、残る約1/3のミイラの中身は、なんと、空っぽ。
 その中身のないミイラには、動物の代わりに、泥、棒きれ、アシ、卵の殻、鳥の羽が詰められていた。

 これは何を意味するのか、と研究者は考える。ミイラ製造業者の偽造か、それとも他の理由があるのか。結局、たどり着いた結論は、「動物ミイラの中身は実物の動物でなくとも良かったのだ」。「何か、動物に関連したものや、その生活の証となるもの」で中身を代用し、美しくミイラの形に整えたのだ、と解釈する。

 エジプト学の研究者には優れた人格者がいるものだと感心した。古代エジプト人を疑うことなく、神殿に捧げたミイラには、神を裏切る気持ちなど微塵もなかったと決めつけるところが、すごい。

     (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com

www.bbc.com