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寒中水泳:そのとき、からだは「冷たさ」にどう反応しているか? (RTE-News, Dec 25, 2022)

Planning a traditional chilly swim over Christmas or New Year? Imy Brighty-Potts asks GPs about the immediate impact on the body.

 農家の稲刈りが終盤に差し掛かった晩秋のころ、グワグワと騒がしい掛け声をあげて、北の空からマガン、白鳥が群れをなして飛来する。そして、やがて大寒の終わりを告げる節分が近づくと、よく晴れた朝、その渡り鳥たちは一斉に上昇気流に乗って空高く舞い上がり、また、北の大地に帰っていく。

 

 その一年のうちでもっとも寒い小寒大寒シーズンに、日本では古くから禊(みそぎ)あるいは寒中水泳と称し、川や海に入ったり、滝に打たれて身を清める風習・ならわしがあった。

 

 ヨーロッパではクリスマスの伝統行事として寒中水泳 (cold water swimming)が盛んに行なわれ、フランス、ドイツ、イギリス、オランダ、フィンランド、カナダなどの人々にとって、寒中水泳はよく知られ、親しまれた冬の行事の一つだった。Christmas swim 2021

 なぜ、わざわざ冷たい水に浸(つ)かるかだって?それは、

 

・幸せホルモンの「endorphins (エンドルフィン)」の分泌が高まる

・「depression (うつ)」が吹っ飛ぶ

・「general wellbeing (精神的な満足感)」に満たされる

・「cardiovascular benefits (心臓血管の働きが強まる)」

 

などの健康増進効果が期待できるからだ。

 

 ただし、寒中水泳に先立って、やるべきこと、忘れてはいけない注意点がある。

・まず第一に「fit and healthy (元気で健康)」であること

・preparation (準備運動)

・acclimatisation (冷たい水にからだを慣らす)

・done with a group of people (仲間と一緒に行動)

・warming up your leg and arm muscles (手足の筋肉の準備運動を)

 

なお、絶対に

・一人で寒中水泳に行かない 

・危険な場所で泳がない

・すぐに水の中に飛び込まない

ことだ。

 

 腰のあたりまでゆっくりと水の中を進み、いったん肩までからだを沈めてから泳ぎ始めよう。

 さて、そのとき、からだはどう反応するか。

1.Lungs:肺

 冷たい水の中に突然入ると、からだは「cold shock」を起こして、一瞬、息がつけなくなる。肺が収縮することで、「hyperventilation(過呼吸)」すなわちコントロール不能な速い呼吸もしくは深い呼吸に陥ってしまうためだ。この現象はからだの「physological reaction(生理的反応)」の一環として起こるものであるが、寒中水泳に熟練するにつれて、必ずしも心配するほどのことではなくなる。

 

2.Heart:心臓

 心臓は水の冷たさに敏感に反応し、

・heart rate;心拍数

・blood pressure:血圧

・cardiac output:心拍出量

が急増する。

 健康な人にとって、心配するほどのこともないが、たとえ、健康な人であっても、寒中水泳の前には暴飲暴食を控えた方が良い。

 

3.Skin:肌

 冷たい水に入ると、心拍数が上昇し、血の巡りがよくなるため、水から上がった後のしばらくは、顔がほてって血色のいい健康的な肌になる。Your winter swim could improve your mental health (Alamy/PA)

4.Brain:脳

 冷たい水のなかで泳ぐと、「endorphins (エンドルフィン)」の分泌が促進されるため、心が幸せ感で満たされる。それに、冷たさとの戦いで、痛みやストレスどころではなくなってしまう。したがって、メンタルヘルス効果は高い。

 さらに、冷たい水が「fight-or-flight response (闘争・逃走反応)」を引き起こして「adrenalin (アドレナリン)」の分泌を活性化させては、「feeling of euphoria (極上の幸福感)」をもたらし、結果的に

 

・overall mood:心の全てのムード

・confidence:自信

libido:エロスのエネルギー

 

を高めるため、心もからだも躍動感にあふれるようになる。

 

5.Limbs:脚

 水の中に入ると、まっさきに冷たいと感じとるのは、からだの末梢部 (periogery)すなわち手足の「cold receptors (冷感受容体)」だ。そこで、手足の血管が収縮する。ただし、その冷さがピークに達するのは、水に入って約30秒後。それから約 2分も経てば水の冷たさにからだが順応し、呼吸が楽になる。この 2分間が「the first two-mimuite phase of cold exposure ( 2分間続く寒冷曝露の第 1段階)」。これを過ぎたら「the second phase of short-term exposure (短期寒冷曝露の第 2段階)」に突入する。

 なお、この第2段階では体細胞、筋肉、神経の「biochemical activity (生理活性)」が阻害され、からだが極端に冷やされると、痛みを感じることもあるという。

 

おわりに:冷たい水に浸(つ)かると、さっぱりする。とくに、温泉に入浴した後で、水風呂または冷水シャワーを浴びて「warm-and-cold water dips」を繰り返すと、エンドルフィン効果はてきめんだ。ただし、寒中水泳は、くれぐれも無理をしないこと。とくに血圧が高めの人は要注意。 

       (写真は添付のRTE Newsから引用)

www.rte.ie