「精粋・簡潔にして優美」は、芸、武道、禅庭、俳句などの世界にあって、至高の目標となるものだった。
茶道の開祖 利休は「わび、さび」を重んじ、一刀流では、ただ真っ直ぐに刀を振り落ろす「切り落とし」を一の大事とした。能・日本舞踊の所作、龍安寺の石庭も芭蕉の俳句も、一切のムダを削ぎ落とし、「素 (symplicity)」に究極の美あるいはその道の到達点を見出そうとする試みであった。
その思想、精神が「skincare (スキンケア)」に取り込まれて、「skin minimalism (スキン・ミニマリズム)」が生まれた。
これは、さまざまな「cosmetics (化粧品)」を片っ端から塗り重ねるのとは違い、基本的に肌に必要なものだけを、必要な量だけ使用するというスキンケア法だ。
化粧品メーカーは、どこも、毎年、「unpronounceable ingredients (まともに発音できない化学成分)」の入った新製品を販売する。それを、一々買い揃えて、あれもこれもと使い続けると、かえって肌が荒れてしまうことだってある。
では、スキンケアの化粧品は、どのように選択し、どのように使うのが良いのか。Londonでコンサルタントとして活躍する皮膚科医Dr Shaaira Nasirが教えてくれる。
1.What are the benefits of stripping back your skincare routine?:ムダな化粧品の洗い出し
同じような働きのある化粧品を一度に何種類も使ったり、肌に合わない化粧品を使っていませんか。
また、思うように効果が現われないと言っては、必要以上に多く塗りすぎたり、多く使えば、それだけ効果があると思い違いしていませんか。
これでは、お金と時間をムダにしているようなもの。理由もなく、多種類の化粧品を塗り重ねると、
・acne:にきび
・rosacea:酒皶(しゅさ)
・eczema:湿疹
など、お肌のトラブルの原因になりかねない。
2.What should you think about when adopting a more minimaist routine?:スキン・ミニマリズムの注意点
肌は、人によって皆、違うもの。まずは自分の肌のタイプを知ることが大切。判断できないときは、信頼できる専門医に相談することも選択肢の一つ。
基本的にスキンケアに必要なものは、次の3点に尽きる。
・good face cleansers:良質の洗顔剤
・moisturisers:保湿剤
・sunscreens:日焼けどめ (SPF 30以上)
ただし、これまでの「skincare」用に使っていた化粧品を変えたからと言って、すぐに効果が現われるものではない。8週間のようす見が必要だ。
3.What products should you use?:どれを選べば良いの?
大ざっぱに言って,「乾燥肌(dry skin)」と「oily skin(油性肌)」では、適合製品が違う。
3.1 face cleansers:洗顔剤
・dry skin → 保湿性の高いもの、または乳液タイプ
・oily skin → 泡タイプのもの
3.2 moisturisers:保湿剤
・dry skin → クリームタイプのもの
・oily skin → ローションまたは保湿美容液
3.3 SPF:日焼けどめ
・dry skin & general → レギュラー・クリームまたは液状タイプのもの
・oily skin → ジェルタイプのもの
4.If you want to go a step further:他にもっと使いたいなら
できるだけ使わないほうがいいが、使うとしたら
・Exfoliant:角質除去剤
Beta hydroxy acid(ベータヒドロキシ酸BHA)を週に1,2回使用。ただし、「oily skin」の人に限る。
・Anti-ageing skincare:アンティ・エイジング (老化防止) 剤
Vitamin C serum (ビタミンC浸透型) を朝に、retinoid (レチノイド) を夜に使用。
まとめ:基本的な「skin minimalism」の考え方は、「many unnecessary products (何種類もの不必要なスキンケア製品)」を「in the long term (長期間にわたって)」使用しないことだ。
(写真は添付のRTE Newsから引用)