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プラスチック・ゴミが高級衣料に変身:さて、その着心地は! (BBC-Science, Mar 15, 2021)

A man selling polythene in Dhaka

 廃品回収業は江戸時代からあったという。ボロ布、紙クズ、鉄クズなどを回収し、どうにかして再利用できるように知恵を絞った。古くは「バタ屋」と呼ばれたが、その呼び名も1960年代頃から「資源回収」、「環境」、「環境保全」、「リサイクル」などと、さまざまに変化した。

 

 ほとんどの町や村の住民が貧しかった江戸時代、そして戦後の全ての「もの」が不足していた昭和初期、人々には「もったいない」文化が根付いていて、安物、高価なものの区別なく、「もの」は大切に使用された。

 

 その日本独自の「もったいない文化」が壊れ始めたのは、テレビ、洗濯機が普及した高度成長期。やがて電卓、パソコンやスマホまで使い捨てに回されるようになると、世の中は「fast fashion (ファスト・ファッション)」全盛期に突入する。

 

 派手な宣伝と知名度の高いモデルを使った販売戦略。さらに「最新の流行 (new fashion)」という大手ファッション・メーカーの口車に乗せられて、春、夏、秋、冬の季節ごとに、新たな衣類を買い込んでは、すぐに古着またはゴミ処分に回す昨今だ。A boy searches for food in polythene packets at a roadside in India

 こうして、「fast fashion」業界は莫大な富を築き、経済界で圧倒的な発言力を有するまでに成長した。

 しかし、ファッション業界は、地球上で最も深刻な環境汚染を生み出している部門の一つだ。世界のCO2全排出量の 5− 10%に相当する地球温暖化ガスと、年間数百万トンの衣類ゴミを排出し、生産過程では膨大な水を消費する。

 

 その化学繊維の主流は「polythene (ポリエチレン)」。この成分は「ビニール袋(plastic bags)」や「食品包装フィルム(food packaging)」にも使われ、世界の「どこにでもあるプラスチック (a ubiquitous plastic)」。

 

 ところが、MITの Dr Svetlana Boriskinaらの研究グループは、「fast fashion」の古着やプラスチック・ゴミなどを原料にして、環境負荷すなわち「enviromental footprint (環境フットプリント)」の低い「high-performance fabrics (高性能繊維)」を作り出すことに成功した。(研究の詳細は科学雑誌「Nature Sustainability」に発表。)Polythene woven into plastic fabrics

 この再生繊維は、純粋な「polythene (ポリエチレン)」でできているため、水洗いでも汚れがとれる。スポーツ・ウェア、トレーナーなどの素材に最適。さらに、宇宙空間の放射線に強いため、宇宙服 (space suit)の素材として利用できそうだという。

 

 ただし、吸湿性が低いため、「fabrics (繊維)」の編み方に工夫が必要とのこと。どんなに高級で、どんなに何度も再生が可能な衣類であっても、着心地が悪ければ誰も買わない。どうすれば、着心地を良くすることができるかが、「polythene clothes (ポリエチレン服)」の今後の課題とか。

 

おわりに:行政の将来予測とアセスメントに甘さがあった。ダンボール、レアメタル、プラスチック容器、電池などのリサイクル事業に、思うような成果が上がっていない。回収したパソコン、テレビ、古新聞などの一時保管場所の確保もさることながら、回収コストと再生コストに経費が掛かり過ぎるからだ。それに、再生された製品の性能が悪ければ、それは商品として見向きもされない。

        (写真は添付のBBC Newsから引用)

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