奴隷商人の銅像:その所業を恥じず、今も、民衆を見下ろすとは! (BBC-News, January 21, 2021)
とくに、政治家 (politicians)の言葉には、「建前と本音 (superficial and real intentions)」があり、その行動には「表と裏 (visible and hidden sides)」があることが多い。
しかし、イギリス人の William BeckfordとJ ohn Cass。この二人の人物については、裏と表の差がきわだっている。なんと、真面目くさって、大衆に向かっては政策をぶつ。その一方で、「Africa-America間の奴隷貿易 (transatlantic slave trade)」に関わっては、巨万の富を築き、あげくの果に、銅像に祀(まつ)られて、後世の住民に睨みを利かせる。
ところが、日ごとに高まる「Black Lives Matter (アフリカ系住民に対する人種差別抗議運動)」の声を受け、ついに行政がその重い腰を上げた。
LondonはLondonでも、Lodon旧市街の中心地区「The City of London」の「The Policy and Resource Committee (政策・資源委員会)」は、この 1月21日 (木)、その「The Square Mile」に立っていた 2体の銅像の撤去案を議決した。
今後も、「The City of London Corporation (ロンドン市自治体)」は、ロンドン市内に今でも残る、多数の、奴隷貿易に関与した人物の銅像や、彼らの名に因んだ「road names (通りの名前)」について撤去や変更を考える予定だ。
差し当たって、直ちに撤去作業を進めることになった銅像の主は、こんな人物。
1.William T. Beckford (ウィリアム・ベックフォード [1760- 1844])
父親の莫大な資産を受け継ぎながら、ジャマイカのサトウキビ大規模農園 (plantation)を経営し、さらに奴隷貿易で財を増やした。こうして当時の Londonでは、最大級の富豪にのし上がった。もちろん、金にまかせて道楽の限りを尽くした。
ところが、どういうわけか、17世紀後半、ロンドン市長に2度も選出される。
2.John Cass (ジョン・キャス [1661- 1718])
17 −18世紀、MP (議員)に選出され、国政に当たる。その一方で「The Royal African Company (王立アフリカ会社)」の首脳陣に名を連ねて、奴隷貿易に精を出した。そして、何を思ったか、学校を建てて「philanthropist (慈善家)」とも呼ばれた。しかし、その「慈善(philanthropy)」は、しょせん「偽善 (hypocrisy)」に過ぎない。
なお、昨年の 6月、UK西部の港湾都市 Bristol (ブリストル)で、同じく奴隷商人 Edward Colston (エドワード・コルストン [1636 -1721])の銅像が引き倒され、海に投げ込まれる事件があり、「London Borough of Tower Hamlets」にあった奴隷商人 Robert Milligan (ロバート・ミリガン [1746- 1809])も、当局によって撤去されている。
おわりに:アフリカ系住民を銃で脅して捕らえ、「もの」として奴隷船で運んで、売り買いした奴隷貿易。どんなに口達者な政治家と言えども、これを正当化することは不可能。「悪」と「善」、「悪人」と「善人」を取り違えては、子どもに「善」を諭(さと)すことはできない。
(写真は添付のBBC Newsから引用)