1790年代、Scotlandの主要な輸出産物は wool (毛織物)、fish (水産物)そして「salt (天然塩)だった。冷蔵庫がない当時、肉類、魚の保存には塩が欠かせないものであり、貴重品として取引されたのだ。製塩会社は、「white gold」と、もてはやされた塩1トンつくるのに石炭 8トンを使ったと言われている。
今でも Scotland南東部「Fife (ファイフ)」の小村「St Monans (セント・モナンズ)」には17世紀に建造された「salt pan house (製塩工場)」7基と「windmill( 風車)」1基が残っている。
製塩業の全盛期には、沿岸から海水を直接ポンプで製塩工場まで送り込んだという。さらに石炭を炊いて、その海水を煮詰め、塩をつくった。
しかし、その後、スペインの塩田でつくられた天然塩が出回ると、これに押されて、Scotlandの製塩業は廃業に追い込まれれる。
ただし、Mr Darren Peattie (36歳)のように、一旦は故郷を離れてLondonに職を得たものの、子どもの頃の夢をかなえるために、Fifeに戻り、天然塩つくりにチャレンジする人も現われた。
Mr Peattieは、現在、1日 2.5トンの海水を、「The Firth of Forth」の入り江から海水をホースで汲み上げ、これを「St Monans」の工場までタンクローリーで運んで製塩に使っている。St Andrews大学の水質試験結果によると、この海水にはマイクロ・プラスチックなどの汚染物質がまったく含まれず、ミネラルが豊富な「Grade A」の海水。
主な製塩の作業工程は以下のとおり。
1.filtering:濾過作業
2.vacuum evacuation:真空蒸発
3.turning the water into brine:濃度の高い海水 (ブライン)づくり
4.heating:煮詰め作業
5.salt crystales and flakes:塩の結晶・フレークの回収
6.drying:乾燥
なお、Scotlandでは、今後「Blackthorn Salt」、「Skye Sea Salt Company」の 2社が製塩事業に着手する予定とか。
おわりに:海水の塩分濃度は約 3.4%。2.5トンの海水からおよそ85kgの塩がとれる。この天然塩をホクホクの「baked potato」にふりかけたら、さぞ、美味しいことだろう。
(写真は添付のBBC Newsから引用)