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イラクサ科「ギンピィ」の葉に神経毒:毒蜘蛛・サソリの毒に似る! (BBC-News, September 18, 2020)

Leaves of Dendrocnide excelsa or the Australian stinging tree

 春、雪解けのシーズンになると、山の斜面に芽を出すのは、山菜の女王として古くから親しまれている「ミヤマイラクサ (アイコ)」。しかし、これが生長すると、その棘(とげ)が手に刺さるようになり、まさに手に負えなくなる。

 

 同じイラクサ科でも、Australia「Queensland (クイーンズランド州)」北東部の熱帯雨林に生える「Demdrocnide excelsa (デンドロクニド・エクセルサ)」、別名「ギンピィ・ギンピィ(gympie-gympie)」は、その棘に恐ろしい毒を忍ばせている。

 この植物はその枝に大きな楕円形の葉を広げた大木になる。そして、その葉の表面は、細い髪の毛のような棘でビッシリと覆われている。

 

 まちがえて、これに触れようものなら大変だ。はじめは、焼け付くような激しい痛みに襲われ、それから、数時間経過すると、今度は、まるで車のドアに手を挟んだような強烈な痛みが走る。その痛みと言ったら、ほとんど「excruciatingly (耐えがたい苦しみ)」だ。

 いったい、この痛みの正体は何か?

 Queensland大学「分子生物科学研究所」の Irina Vetter准教授らの研究グループは、その痛み成分の解明に挑戦し、みごと「痛みの謎」解きに成功した。(研究の詳細は「The Science Advances Journal」に発表。)

 

 それによると、「ギンピィ・ギンピィ(gympie-gympie)」の棘は、極細の「hydrodermic needles (注射針)」のようになっていて、これに触れた瞬間に毒液が体内に注入される。

 その毒(venom)がまた、すごい。毒蜘蛛・サソリの毒によく似た「neurotoxin (神経毒)」だった。さらに分子構造を調べると、「 knotlike (ゴツゴツと節くれだった)」形状をしていた。このため、この毒が血液中に混じると、「pain receptors (痛覚受容体)」が何度も繰り返して攻撃されていたのだ。

 

 Dr Vetterらは、この新種の神経毒を「gympetides (ギンピィタイド)」と命名した。これで、「耐え難い毒」の分子構造が明らかになった。今後は、治療法の開発が期待される。

 

おわりに:生物の進化には恐れ入る。フグ、ハナオコゼ、マムシなどの生物は、自己防衛のため。とんでもない強烈な毒を持っている。しかし、植物にも、その毒に勝るとも劣らない猛毒があるとは........。

             (写真は添付のBBC Newsから引用)

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