「おなかが空いたら食べる」、「おなかがいっぱいになったら、食事はおしまい」。これがごく普通のこと。
食べ物が「gut (おなか)」に入ると、おなかの内壁から脳に向けて、ホルモン・神経シグナルが発せられる。すると、脳は、肝臓 (liver)や膵臓 (pancreas)などに指令を送って臓器の活動を活発化させ、食べ物を消化して、その栄養分を十分に吸収できるようにする。
また、おなかが空いたときや、おなかがいっぱいになったときに、そのことを脳の自律神経システム (脳幹、視床下部弓状核、大脳皮質)に知らせるのも、この「gut (おなか)」のシグナルだ。
しかし、このシグナルが十分に脳に伝達されないと「空腹 (hungry)」と「満腹 (satiety)」のバランス感覚が崩れ、食事の量がコントロールできなくなる。つまり、食べても食べても、「appetite (食欲)」はとどまることがなく、食事を終えた後でも、貪(むさぼ)るように、ケーキやドーナッツを食べてしまう。
University of College Dablin 医学部の Carel le Roux教授によると、このようにして過体重、肥満になる人は、なにも「自制心(willpower)」が欠けているせいではない。食事の量をコントロールする神経伝達回路が、うまく機能していない「intrinsic defect (内因性欠陥)」に原因があるというのだ。
したがって、体重を減らすための対策として、食事の量を少なくする、あるいは運動をすれば、肥満の問題が解決できるとは、いかない。
健康上に支障がでるほど肥満症が進んだ患者には、「gastric bypass surgery (胃バイパス手術)」が勧められる。この手術によって食欲が抑制され、20−30%の減量効果が期待できるという。
(写真は添付のRTE Newsから引用)