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ベビーパウダー:これは使って良いものか、悪いものか? (BBC-Business, May 20, 2020)

A container of Johnson's baby powder (file photo)

 そう言えば、はるか以前に、「赤ちゃんのオムツかぶれに、ベビーパウダーを使う人がいる」と聞いたことがある。このパウダーを製造販売するのは、USの医療機器・医薬品メーカー「J&J (ジョンソン・アンド・ジョンソン)」。

 その原料は鉱石「talc (タルク)」。「蝋(ろう)」のような艶(つや)があって、やわらかでモース硬度1。このため、日本では「ろう石」、「滑石」とも呼ばれる。主成分は「hydrated magnesium silicate (含水珪酸マグネシウム)」。地下の生成過程でアスベストが混入されることも少なくない。

 「The American Academy of Pediatrics (米国小児科学会)」は、この種のベビーパウダーが赤ちゃんの「呼吸器疾患 (respiratory problems)」の発症リスクを高めるとし、これを使用しないようにと勧めている。

 さらに「ovarian cancer (卵巣がん)」の原因が「talc-based Johnson’s Baby Powder」にあるとの訴えがあり、USのセントルイス裁判所は、2018年7月、「J&J」側に対し、$84.7bn (約5,029億円)の賠償を命ずる判決を下した。

 もちろん、「J&J」は、この判決を不服として、目下、上告中。しかし、現在、USだけでも、「J&J」に対し、健康被害の損害賠償請求を求めて、訴訟を起こしている人は約20,000人もいる。

 このような状況下にあって、この5月19日、「J&J」社は、突然、今後、USと Canadaでは、「talc-based Baby Powder (タルク・ベース・ベビーパウダー)」の販売を中止すると発表した。ただし、UK、Japanなど、アメリカ製品が好きな国では、このベビー−パウダーの販売を今後も続けて行く予定とか。

 なお、「The US Food and Drug Administration (アメリカ食品・医薬品局)」は、「J&J」のベビーパダ−から「微量のアスベスト」が検出されたと発表。すると、「J&J」社は、これを真っ向から否定し、自社独自の検査では、アスベストなど検出されなかったと主張している。

 

おわりに:これまで、農薬DDTにしろ、タバコにしろ、健康被害が明るみになると、メーカー側は、ばく大な資金と政治力を駆使して、不平不満、苦情・訴えの声を握りつぶしてきた。「白を黒」と言って来た歴史がある。

  (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com