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惑星「Wasp-76b」:大気温度2,400℃、マッハ16の鉄風が吹き荒ぶ  (BBC-Science & Environment, March 11, 2020)

Artwork

 宇宙は広い。それに不思議がいっぱいだ。人類が、この500万年あるいは700万年の間に、少しばかり賢(かしこ)くなったとは言え、宇宙の数々の不思議・謎など説明できるものではない。 

 地球から「うお座」の方角の、約640光年の彼方に、恒星「Wasp-76」がある。それを「host star (主星)」として、そのすぐ近くを周回する「a monster gas planet (超巨大ガス惑星) 」は「Wasp-76b」だ。太陽系の木星 (Jupiter)に比べて、その直径は約2倍。

 この惑星は、自転周期と公転周期が同じ「tidal locking (潮汐ロック)にあり、恒星に対して常に同じ面を向けて周回している。このため、日の当たる側と当たらない側の温度差 (約1,000℃)から、風速180,000km/h (毎秒5,000m [マッハ16])という、想像を絶する風が吹き荒れている。

 さらに驚くべきことが明らかになった。

 Geneva大学の Dr David Ehrenreichらの研究グループが、チリのパラナル天文台に設置した「ヨーロッパ南天天文台超大型望遠鏡 VLT」で捉えて光を、「Espresso instrument (エシェル回折格子)」で分析した結果、「Wasp-76b」の「terminator (明暗境界線)」の大気中に、鉄Feが現われたり、消えたりすることが分かったという。

Artwork of a hot jupiter

 恒星の光と熱をまともに浴びる惑星の側面が約2,400℃に加熱されるため、惑星の金属成分は全て蒸発し、しかも、バラバラの原子の状態で大気層に分散していると考えられる。ところが、光の当たらない惑星の側の温度は約1,400℃に下がる。したがって、高温度域の大気が明暗境界線を越えて、その温度域に流入すると、鉄が凝結し、「drizzle (霧雨)」状態となって、地上に降り注ぐ。正確には、ものすごい鉄粉ジェットが発生する。

 これが、この惑星で、日常的に発生している自然現象だ。 

 なんとも恐ろしい世界があるものだ。そんな大気層に、ロケットや探査衛星を打ち込むものなら、一瞬で、バラバラにされることだろう。まさに「inferno planet  (地獄の惑星)」だ。

                              (写真は添付のBBC Newsから引用)

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