これまでになかった風邪薬:酵素NMTに働いてウイルスをブロック (BBC-Health, May 14, 2018)
「cold (風邪)」の治療薬の開発はむずかしい。症状を引き起こすウイルスの種類も数も圧倒的に多く、その上、風邪ウイルスは直ぐに進化して、風邪薬に対する抵抗力をつけてしまう。
そこで、London大学「The Imperial College London」の Ed Tate教授らの研究グループは、ウイルスを直接死滅させることをあきらめ、ウイルスの宿主 (host)である人間の肺細胞に注目した。
ウイルスは、肺細胞をハイジャックして自己複製 (self-replication)を繰り返しながら増殖する。Tate教授らは、肺細胞内の酵素タンパク質 NMT (N-myristoyltranferase)をブロックし、ウイルスが自己複製できないような風邪薬を開発した。ウイルスが生きてゆくためには、宿主の細胞が必要で、それがなくては生存できない。風邪の新薬は、ウイルスの進路も退路も断って、死滅させる作戦だ。
もちろん、副作用や毒性をチェックするために、今後、さらに研究を進める必要があるという。
ウイルス性の風邪は、人から人へと、いとも簡単に移り、手あるいは物の表面に取り付いてから24時間生き長らえることができる。
風邪はこんなふうに感染する。
・風邪ウイルスに感染した人がセキやクシャミをすると、ウイルスの付着した飛沫が周囲に飛び散るため、これを吸い込んで感染。
・ウイルスを含む飛沫で汚染された物あるいは表面に手が触れ、その手で自分の口、鼻、目をさわることで感染。
・ウイルス感染飛沫の付着した人の肌に手が触れ、その手で自分の口、鼻、目をさわることで感染。
"symptoms - a runny or blocked nose, sneezing and sore throat - usually come on quickly and peak after a couple of days. Most people will feel better after a week or so. But a mild cough can persist for a few weeks."
なお、ウイルスに感染すると
・鼻水、鼻づまり
・クシャミ
・咽(のど)の痛み
などの風邪の症状が直ぐに現われ、感染から 2日後にピークに達するが、たいていの人は 1週間もすれば回復する。ただし、軽い咳が数週間続くこともある。
(写真は添付のBBC Newsから引用)