日本の準国営企業「JT (日本たばこ産業(株)」の子会社「JTI (JT International)」は、2007年4月、イギリスのタバコ会社「Gallaher (ギャラハー)」を約 1兆 7,800億円で買収し、JTは世界 3 位の巨大タバコメーカーに躍り出た。そして、健康に有害なタバコを世界中に売りまくってきた。
ところが、今年5月、イギリス政府は、タバコのパッケージの印刷を厳しく制限し、表裏両面のいずれにも 65%のスペースを使って「Smoking clogs your arteries (喫煙は動脈血栓を招く)」の警告文とその関連写真を載せることが義務づけられた。
それ以前から、タバコの吸う人、これを作って販売する人に対する風当たりがますます強まっていた。2014年、JTI は北アイルランド「County Antrim (アントリム州)」のBalleymena (バリーメナ) 工場を閉鎖すると発表せざるを得なくなっていた。
そして、この10月、その最後のタバコが生産ラインを流れて、従業員800余名の工場は門を閉じた。
なお、England の Nottingham (ノッチンガム州)の「Imperial Tobacco's Horizon factory」が、昨年の 5月、操業を停止している。これで「UK-made cigarettes (英国製タバコ)」の製造工場は、イギリスから全て姿を消したことになる。
以下は、「The rise and fall of British Smoking (イギリスのタバコ産業の栄枯盛衰)」。
1.1850年代:クリミア戦争(1853-1856)で戦った兵士が、トルコ同盟軍の安価で手頃な「papirosiタバコ」を知ったのが始まり。それがイギリスで工場生産されるようになる。
その後、Thomas Gallaher (トーマス・ギャラハー)が「手巻きタバコ (hand-rolled tobacco)」を手押し車にて販売。後に、世界屈指のタバコ工場に発展させる。
2.1910年代:タバコはWW1 (1914-1918) の従軍兵士にとって気安めの嗜好品となる。塹壕内で従軍牧師 Rev Studdert Kennedy が、兵士に「Woodbine cigarette」を配って、「Woodbine Willie」と呼ばれるようになった話は有名。
3.1940年代:やがて、喫煙はイギリスで一般的なものになり、1940年代、男性の約2/3はタバコを吸っていた。
4.1951年:タバコとガン (cancer) との関連性に関する大規模な医学研究が開始。
5.1965年:政府はタバコの TVコマーシャルを禁止。
6.2007年:イギリス全土で公衆の場 (屋内) の喫煙禁止。
7.2016年:イギリスの喫煙率が 15.8%になる。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)