1.幻覚剤サイロシビンの臨床試験
「psilocybin (サイロシビン)」はマジック・マッシュルームから抽出される幻覚成分。これが「depression (うつ病)」の特効薬となる可能性がある。
Oxford大学の Guy Goodwin教授らの研究グループは、被験者59人と小規模ながら、6週間にわたる「psilocybin」の臨床試験(trial)を開始した。
被験者を治療薬別、すなわち「psilocybin」治療グループと従来型治療薬SSRIの一種「escitalopram (エスシタロプラム)」治療グループに分けて、被験者全員には「theerapy (心理・物理療法)」も受けてもらいながら、幻覚剤「psilocybin」の治療効果を探った。
2.うつ病 (depression)とは
うつ(鬱)病は
・夜眠れなくなり
・やる気が失せて
・好みが変わり
・気分が落ち込み
・自殺念慮に追い込まれる
恐ろしい精神疾患 (psychiatric disorder)だ。
「depression (うつ病)」や「anxiety (不安症)」の治療には、一般に、SSRI (Selective Serotonin Reuptake Inhibitors [選択的セロトニン再取り込み阻害剤])タイプの
・Escitalopram:エスシタロプラム
・Fluoxetine:フルオキセチン
・Citalopram:シタロプラム
・Setraline:セルトラリン
が処方されることが多い。
これらの治療薬は、いずれも脳内のストレス反応機構「扁桃体」に働いて、「painful emotions (もだえ苦しむような心の痛み)」を和らげる効果があると考えられている。
しかし、必ずしも、どんな患者にも効くわけではない。それどころか、全ての感情を鈍らせて「emotional blunting」、次のような「unwelcome side-effect (望ましくない副作用)」を招くことも少なくない。
・downsiness:眠気
・sexual dysfunction:性機能不全
・dry mouth:口の乾き
今回の臨床試験でも、「escitalopram(エスシタロプラム)」治療グループには、上記の副作用が現われ、他にも「一過性症状 (transient symptoms)」として、薬の投与後に、頭痛 (headackes)が見られた。
4.幻覚剤による「うつ病」治療
さて、幻覚成分「psilocybin」は、脳の「receptors (受容体)」に働いて、思考回路を再編成すると考えられている。
これを裏付けるように、「psilocybin」治療グループには、従来型SSRI治療に現われるような副作用はほとんど認められず、この治療を受けた被験者は、『頭が「recalibrated (再校正された)』とか、『ずっと、もやもやしていた心がリセットされた』などと述べたと言う。
したがって、psychedelic drug (幻覚剤)である「psilocybin (サイロシビン)」の治療効果は、「considerably better (かなり良好)」だったことになる。
ただし、今回のOxford大学の臨床試験は、小規模で、それも初期段階のステージに留まるもの。このため、「psilocybin」が「escitalopram (エスシタロプラム)」に比べて、ずば抜けている (quantum leap)との結論を出すには、時期尚早だ。
Goodwin教授は、今後、さらに研究を進める予定とか。
おわりに:効くか、効かないか、分からない。確かなことは、恐ろしい副作用があることぐらいだ。誰だって、そんなうつ病の薬など、怖くて服用できない。
うつ病に苦しむ人は、どんなに「サイロシビン」の治療薬を待ち望んでいることだろう。
(写真は添付のBBC Newsから引用)