大勢の人が「お盆休み」の行き場に困った。バリ島、US、ヨーロッパは、コロナ感染のリスクが高い。それではと、近場の行楽地を探しても、公共交通機関の中も感染リスクが高い。
つまるところ、大抵は、マイカーで行ける範囲で、コロナ感染者数が少ない地方都市をターゲットにする。
パンドラの箱ではないが、「見るな」と言われると、余計に見たくなるもの。同じように、「行くな、東京・大阪を離れるな」と言われると、俄然、都会から逃れたくなるのが人情だ。人間の心の中には、天邪鬼が住み着いているもの。それに、政府は「ほっかぶり」を決め込んで、「行くなとも、行っても構わない」とも言わない。ただ、責任逃れの「慎重に」を繰り返すだけだ。
このような状況は、UKとて同じだ。
例年であれば「summer vacation」を楽しむはずだった。そこで、どこかに出かけたくてウズウズしている人々は、人口密度の低いScotland北部の「Highlands (ハイランド地方)」に車で向かった。とくに、ホット・スポットは「Cairngorms (ケアンゴームズ)」と「Lochaber (ロッハバー)」。
次々に押し寄せる観光客に、観光業 (tourist trade)に携わる地元の人は大歓迎だ。しかし、いかに UKとて、皆がみな、礼儀正しく、マナーの良い英国紳士・淑女とは限らない。
国立公園内で、勝手に駐車した車が道路を塞ぎ、環境・自然保護とはほど遠い仕方でキャンプを張る。ゴミを散らかし、ところ構わず排泄物を残す。
そんな、こんなで、Scotlandの山岳地帯はゴミだらけになってしまった。海岸に広がる野生の草花の宝庫「machair (マカ)」も、自然破壊が進む。
公園管理者の「責任ある行動を」、「自然に思いやりを」との呼びかけも、大した効果が上がっていないようだ。
Highlandsのカウンセラーは、
・自然保護キャンペーンに力を入れ
・トイレの数を増やし
・ゴミの収集回数を増やし
・駐車場を改善し
・ルール違反に対する取締りを強化
することを訴える。
公園の入口に掲げた「足型の看板」。そこには、こんな言葉が書かれている。
“ Please take litter home only foot print”
[ なんとかお願いだ、足跡以外はすべて持ち帰ってくれ。]
おわりに:外出自粛規制、店舗閉鎖が続き、Scotlandの経済は苦しい状況にある。少しでも多くの観光客を呼び込みたい気持ちだろう。しかし、自然を犠牲にしてはいけない。Scotlandの魂まで、観光客に売り渡してはいけない。
また、どの町、どの国にとっても、経済を観光に頼り過ぎるのは危険だ。多くの人にとって、「地に足が付いた産業」を育てる大切さが、しみじみと理解できたはずだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)