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洗濯機から大量のマイクロプラスチック:海洋汚染の元凶か? (BBC-Sci & Env, June 27, 2020)

Commercial washing machines (Image: Flickr/Trepulu)

 体を清潔に保つためには、洗濯が欠かせない。毎朝、せっせと、世界中の人が衣類 (garments)を洗う。その数、推定年間約500億枚。しかし、「New South Wales大学」の Dr Mark Browneらが、2011年に発表した研究によると、古くなった衣類を洗濯機にかけると、平均約1,900本のファイバーが発生するという。

 この研究結果に対して、洗濯機にはフィルターが付いているので、洗濯機が海洋マイクロプラスチックの発生源になっていることはありえない、と反論する人もいるそうだ。本当にそうなのか。Dr Browneらは、さらに調査することにした。

 もし、フィルターの付いていない洗濯機で衣類を洗うと、ゴミやファイバーは、各家庭の排水管から汚水 (effulent)となって下水溝(sewers)に入り、下水処理施設 (sewage treatment facilities)に送られる。

 そこで、ファイバーの一部が汚水から除去、回収され、「スラッジ(sludge)」として埋立あるいは焼却処分に回される。しかし、現在の技術レベルでは、とても、0.5mm以下のマイクロプラスチック (ファイバー) MPを下水から完全に取り除くことは不可能だ。

Fabric fibre caught in a filter

 そこで、Dr Browneらの研究チームは、洗濯機に市販の専用フィルターを装着して、その性能を確かめてみた。

 すると、コットン、ポリエステルの衣類に関しては、ファイバーの74%を除去できたという。しかし、残りの約1/3は下水に垂れ流しになった。

 海に流れ込む、下水・汚水・廃棄物関連のプラスチックの総量は、洗濯機の フィルターをすり抜けたファイバーを含めて、推定年間約1億5千万トン。とくに、環境に与える影響が大きいのは、0.5mm以下のマイクロプラスチックMPだ。

 これらの「synthetic material (合成物資)」は、まず、海岸線(shorelinss)に生息する「lugworms (ゴカイの仲間)」に取り込まれる。すると、これを捕食する小鳥や魚の体内にMPが取り込まれ、「食物連鎖 (food chain)」のサイクルの中で、「生物濃縮 (biological accumulation)」による、汚染物質の急激な濃縮が起きる。

 地球上の生命体の細胞は、これまで受けたことがなかったダメージに晒されているのだ。

 少なくとも、食物連鎖の底辺に位置する「lugworm」が、MPをエサと間違えて体内に取り込んだり、「fire retardant (難燃剤)」のような毒物を食べては、自然環境の「ecosystem (生態系)」に重大な影響を与える。

Clothes in a washing machine (Image: Flickr)

 したがって、とりあえず、各家庭の洗濯機から大量に排出され、世界中の海を深刻な状態にまで汚染しているマイクロプラスチックすなわち MPファイバーに対して、何らかの歯止めを掛ける必要がある。それには、どのようなフィルターが適切であるのか。それとも、下水処理場で MPを除去できるのか。早急に問題の解決に向けて取り組むことが迫られている。

                             (写真は添付のBBC Newsから引用)

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