ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

Berlin大空襲を生き延びた「Saturn (サターン)」:Moscowで死す! (BBC-News, May 23, 2020)

Saturn, the alligator

 「Saturn(サターン)」と呼ばれた「mississippi alligator (ミシシッピワニ)」は、数奇な運命をたどった。

 生まれたのはUS (アメリカ合衆国)。すぐにドイツの「Berlin Zoo (ベルリン動物園) 」に寄贈される。それが1936年のことだ。

 ところが、その後の1939年 9月、WW2が勃発する。やがて、ドイツ軍の戦況が危うくなりかけた頃の1943年11月の22日夜から23日朝にかけて、ベルリン市内はイギリス空軍の大爆撃を受ける。その爆撃で市民数千人の死傷者が出た。とくに被害が大きかったのは、動物園施設が立ち並ぶ「Tiergarten district (ティーガルテン地区)」だった。動物園で飼育されていた動物も、多数犠牲になった。

 なお、その動物園の一角の「aquiriuam building (水族館)」で飼われていた「ワニ(crocodiles)」も爆撃で吹き飛ばされ、道端には 4匹のワニの死体が積み上げられていたという。

 けれども、運良く、その 空襲から逃れたワニがいた。それが「Saturn (サターン)」。

 この、アメリカ生まれのミシシッピワニは、戦争で瓦礫と化し、しかも寒冷な気候のベルリンの街中で、人目を逃れ、なんとか3年も生き延びた。

 しかし、悪運の強い「Saturn (サターン)」も、ついに、イギリス軍に見つかってしまう。イギリスは何を思ったのか、1949年7月、このワニをUSSR (ソ連)に譲ってしまう。

 それ以降、今日2020年に至る74年間、「Saturn 」は「Moscow Zoo (モスクワ動物園)」で飼われることになった。

 「Moscow Zoo」では飼育員に良くなついて、ブラシで体をマッサージしてもらうのが大好きだった。ただし、怒り出すと、鉄製の餌バサミやコンクリートのかけらをバリバリ噛み砕いたという。

 さらに「Saturn 」がモスクワっ子を一番に惹きつけた理由。それは、そのワニが「ヒットラーに飼われていたワニ」という噂(rumour)だった。その噂がどこから出たのか、真相は明らかにされていない。しかし、噂がうわさを呼んで、多くの人が、このワニを目当てに「Moscow Zoo」を訪れた。

 その「Saturn (サターン)」。2020年5月12日の朝、モスクワで永遠の眠りについた。野生の「mississippi alligator (ミシシッピワニ)」の寿命(30−50年)に比べて、はるかに長生きしたとは言え、「Saturn」にとって幸せな一生だったのかについては、誰にも分からない。

 ロシアは、今後、「Saturn」を剥製にして、展示する予定とか。

おわりに:このワニ「Saturn」が、なぜサターンと呼ばれたのかは不明。ローマ神話の、「死と時間と運命」を司る神あるいは農業の神とも言われる「サトゥルヌス」に因んで付けられた名前か。 

                                  (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com