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通勤は歩くか自転車、バス・電車とせよ!:これがUKの青写真  (BBC-Science & Environment, March 27, 2020)

Bikes and buses

 東京「新橋」と言えば、中央官庁の官僚や周辺ビルのホワイトカラー族が、日暮れ時に、続々と集まる「歓楽街」。この新型コロナウイルスの騒動で、そこに軒を連ねる多くの飲食店には閑古鳥が鳴いて、店の経営者は大いに困っていることだろう。

   その新橋から横浜まで、日本初の蒸気機関車が走ったのは1872年(明治5年)のことだ。今では、そのSLも、TVの「機関車トーマス」に名残(なご)りを留めるだけになった。

 その後、日本はもとより、UK、フランス、ドイツなどの列強大国は、軍備増強と並行して、バスや鉄道の公共交通機関網のインフラ整備を進めた。しかし、そんな状況の中で、何よりも急速に発展したのは、高速道路網とマイカーの普及だった。

 ところが、近年、とくに、人口の急増が著しいインド、中国の主要都市やロンドン、パリでは、日中、自動車の排ガスがひどくて、晴れてはいるものの、きれいな青空を見ることができなくなった。

 皮肉なことに、その悪名高いロンドン、パリの空も、新型コロナウイルス感染対策の外出禁止令が下されると、嘘のように、空がきれいに澄み切ったと言う。

 さて、UKの運輸大臣 Grant Shapps (グラント・シャップス)は、ロンドン市街の大気汚染問題が一向に解決しないのに、業を煮やしたのか、「gob-smacking (とんでもないこと)」を言い出した。『マイカーの使用を控えて、便利で費用対効果が高く、組織的に管理された公共交通網を大いに利用しよう。』

 これは、政府がまとめた「De-Carbonising Transport consultation(脱炭素運輸審議)」報告書の序文に記された文言だ。

 この公文書は、今後のUKの交通体系のビジョンを著した重要なもの。しかし、メディアに内緒にして、こっそり一般公開された。

 つまり、短い距離だったら歩くか自転車に乗り、遠距離の旅行では公共交通機関を利用せよとの政策だ。国民にとって体を動かすことは健康に良いし、通勤に不便を感じる人は、引っ越しすれば良い。排ガス量が減少して、気候変動対策の効果が上がるはずであり、他国に先駆けて、この交通改革を推し進めるならば、経済効果も期待できると、Mr Shappは力説する。

 しかし、この改革案には抜け穴 (holes)がある。その一つが「飛行機がもたらす大気汚染」だ。Mr Sappsは、これは技術力で何とか解決できると楽観視するが、批判の声が高まっている。

 

おわりに:世界の主要都市でマイカーの使用を自粛し、排ガスを少なくしようとする運動が進められている。しかし、一方で、若ものの間では、大型のSUV・ボックスカーが人気だ。いずれも燃費が悪く、その製造には多くの資源を消費する贅沢車だ。

 社会全体が排ガスや気候変動、あるいは新型コロナウイルスの問題に真剣に取り組まなければならない中で、味方の足並みが乱れていては、目の前の強敵に到底敵うはずがない。

                         (写真は添付のBBC Newsから引用)

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