大型の高級乗用車を乗り回し、休暇旅行だと言っては、海外に飛行機で出かける。それも、ウイスキー・ワイン飲み放題のファースト・クラスにふんぞり返って.....。世の中に、「vast inequality (極端な不公平)」が存在するのは歴然だ。
Leeds大学の Julia Steinberger教授らは、EUと「World Bank (世界銀行)」のデータに基づいて、イギリス人の所得格差とエネルギー消費との関係を調査し、その結果を科学雑誌「Nature Energy」に発表した。
Steinberger教授らの報告書によると、富裕層の上位10%が消費するエネルギー量は、貧困層の下位10%のエネルギー消費量の約20倍。交通・移動エネルギーに限ると、両者の差は187倍に拡大した。
貧困にあえぐ人々にとって、頻繁にドライブを楽しむ余裕などないのだ。また、イギリス国民の約57%は、一度も飛行機に乗って海外旅行をした経験がなかった。
さらに、富裕層の上位10%が、クッキングや暖房に使用されるエネルギーの約1/3を消費していた。
つまり、富裕層 (the rich)が、化石燃料 (エネルギー)の大半を消費し、CO2の排出量を増大させ、気候変動を招いていることは明白。
これでは、「気候変動・環境対策」だ、「エコにグリーン・ライフ」だと呼びかけても、その声は虚(むな)しく響くだけ。国内はもちろんのこと、国際的にも各国の「受益者負担」の原則が守られていない。石炭にジェット燃料、ガソリンが大気汚染や地球温暖化の元凶ならば、それを使用する人、その国が責任を持つ。これは、ごく、当たり前のことだ。
贅沢を楽しむ余裕のない国(あるいは人)が、いくら地球温暖化を危惧しても、贅沢で我がままな国(あるいは人)が話し合いを拒否し、「我れ、関せず」とそっぽを向いているようでは、地球、そして、そこに住む人間の心が廃れて崩壊して行くだけだ。
報告書によると、UK政府が、このまま手をこまねいて、この状況を放置するならば、移動・交通エネルギーだけでも、2050年には、31%増となり、気候変動に与える影響は破滅的 (disastrous)だという。
それなのに、UK財務省の新年度予算では、燃料税 (ガソリン税)の値上げが見送られ、その一方で、新たに、4,000milesの道路建設予算が盛り込まれた。
なお、「the Treasury (財務省)」は、Steinberger教授らがまとめた税項目の内容について関心を示したものの、BBCが求めたコメントは拒否した。
おわりに:どの国でも、政治は、とかく、「Governmet of the rich, by the rich, for the rich (富裕層の、富裕層による、富裕層のために政治)」に陥りやすい。
(写真は添付のBBC Newsから引用)