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脳の「ハブ」:幼児期にうまく作れないと学習障害に! (BBC-Health, February 28, 2020)

A young girl in a classroom

 英語の「habu (ハブ)」と「hub (ハブ)」は、発音がほとんど同じで、紛らわしい。もちろん、奄美大島・沖縄の毒蛇が「habu( ハブ)」で、「ハブ空港」のように、交通網の要(かなめ)の地を「hub (ハブ)」と呼ぶ。

 しかし、16世紀、「hub」と言えば、もっぱら「暖炉の隅に置いた鍋を載せる台」を意味した。

 ところで、ヒトの脳の中にも「hub (ハブ)」と呼ばれる領域が存在し、脳神経組織網の要(かなめ)となって、膨大な情報のやり取りをスムーズにしている。

 さて、脳の発達が著しい幼児期に、この「ハブ」が十分に形成されないと、脳内の情報伝達に支障を来し、「developmental difficulty (発達障害)」もしくは「読み」、「書き」、「聴く」に必要な能力に欠く「learning difficulties (学習障害)」や「cognitive difficulty (認知障害)」を起こしかねないことが分かって来た。

 Cambridge大学のDr Roma Siugzdaite、Dr Duncan Astieらの研究グループが、479人の子どもの脳内スキャン画像データに基づいて、AI技術を駆使した「machin learnin (機械学習)」ならびにコンピュータ・シミュレーションによって解析を進めた結果、とくに、「脳構造(brain structure)」に異常が認められなくても、脳内の「ハブ」領域の機能レベルに応じて、「dyspraxia (失読症)」、「ADHD (多動性障害)」、「autism (自閉症) 」、「dyspraxia( 総合運動障害)」など、種々の症状が現われることが明らかになった。(研究結果の詳細は医学雑誌「Current Biology」に発表。)

 ただし、「認知能力 (cognitive abilities)」レベルと失読症自閉症ADHDなどの間に、明瞭な関連性を見出すことはできなかったという。

 なお、UKの「Department of Education (教育省)」のデータによると、特殊教育SED (special education needs)」クラスの子どもは約130万人 (2019年1月現在)。学習障害 (learning difficulties)に苦しむ子どもは、UKの子ども全体の 14 -30%に及ぶ。この子ども達は、どうしても「仲間外れ (exclusion)」にされてしまいがちだ。

 脳の発達期に不都合が生じ、情報処理がうまく行かなくなってしまった子ども達。その原因と対策に迫る研究は、まさに、始まったばかりだ。

謝辞:この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「The Guardian」の記事も参照した。記して謝意を表したい。

The Guardian: February 27, 2020

・Brain wiring could be behind learning difficulties, says experts

            (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com