「子どもは国の宝」と言うが、その子ども達の未来は明るいのか。WHO、Unicef、The Lancet Commision (ランセット委員会)」は、世界180ヶ国の子ども達の「wealth and wellbeing (健康と福祉)」に関する調査を実施し、この程、その結果を報告書にまとめて公表した。
具体的な調査対象は、子どもに対する教育、食事の栄養、子どもの死亡率をはじめ、子どもを取り巻く社会情勢や自然環境などにも及んだ。
そして、各国の「子ども達の未来の明るさ (child flourishing)」を指数で表示し、次の結果を得た。今の子ども達は「不確かな未来(uncertain future)]」に直面していることが分かったと言う。
その理由を次のように説明する。
1.2015年の国連総会で採択された「The Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標SDGs)」では、飢餓・貧困の撲滅、気候変動対策など17項目に関して、各国が積極的に取り組むことで合意した。しかし、その後、5年が経っても、実質的な動きはほとんどなされていない。
このまま、何の有効的な対策がとられず、SDGsが形だけのものに終わるなら、世界の平均気温が2100年までに現在よりも 4℃上昇し、海水面が上がり、熱波に襲われ、子ども達の間に深刻な栄養不良やマライリアなどの感染症が蔓延する恐れがある。
2.さらに、地球上では20億人以上の子ども達が、人道危機 (humanitarian crisis)、戦闘 (conficts)、自然災害 (natural disasters)、気候変動に深く関与した健康上の問題 (problems increasingly linked with climate change)などによって、その発育が妨げられていると指摘する。
3.一方、子ども達を餌食にしているのは、「harmful marketing (有害なマーケティング)」。お酒にジャンクフード、ソフト・ドリンクと、年間30,000回に及ぶTVコマーシャルを流し、子ども達にそれを買うようにと駆り立てる。
お陰で、世界中に太り過ぎの子どもが溢れ、その数23億人。
4.これに、貧富の差が追い打ちを掛ける。
21世紀のUKでさえ、子どもの2人に1人は貧困家庭にある。
この報告書をまとめた一人の「University College London」のAnthony Costello教授によると、その事実はUKにとって、単に「不名誉 (disgrace)」にとどまらず、UKの社会的な惨事 (social calamioty)」、「経済的な大惨事 (economic disaster)」でもあり、また、現代社会の抱える諸問題が貧困と言う形で現われたものでもあるという。
(写真は添付のBBC Newsから引用)