「sepsis (敗血症)」はギリシャ語由来の英語。BC400年頃、「Hippocrates (ヒポクラテス)がこの病気に名付けたとされる。ギリシャ語で「(組織が)腐る」という意味だ。
Washington大学の Dr Kristina Ruddらの研究グループがまとめた報告書によると、毎年、敗血症と診断される患者数は世界で約4,900万人。その約5人に1人に当たる約1,100万人が、毎年この病気で死亡している。これはガンで亡くなる人の数よりも多い。敗血症が「hidden killer (隠れた殺し屋)」と呼ばれるゆえんだ。
1.敗血症の原因
この病気は、「diarrhoeal infection (下痢性感染症)」「lung deisease (肺疾患)」などがトリガーとなって発症し、その主たる原因は、細菌感染症に対する免疫システムの過剰反応にある。どういうわけか、免疫システムが感染症への攻撃をそっちのけにして、体の他の部位(臓器)を攻撃してしまうのだ。症状が悪化すると、「臓器不全(organ failure)」に陥り、運良く、命を取り留めたとしても、障害が残り、身体が不自由な生活を余儀なくされることになりかねない恐ろしい病気だ。
- 発症率の高い国
世界における敗血症患者の85%は、低・中所得国に集中している。とくに、免疫力の弱い 5歳以下の子どもに、この病気の発症率が高い。ただし、UKでも、年間約48,000人が新たに敗血症と診断され (日本ではデータが未公開:推定約10万人(?)か)、決して少ないとは言えない病気だ。
- 予防対策
敗血症の予防策としては、とにかく感染症に罹らないことだ。そのためには、清潔を保ち、清浄な飲料水を確保し、ワクチン接種を受けること。また、早期診断・早期治療が大切。敗血症の診断は難しく、手遅れになることが多いという。感染症に罹った際には、病状が悪化する前に「antibiotics (抗生物質)や「anti-virals (抗菌剤)」を投与して、まずは感染症を治療することだ。
- 敗血症の主な症状
「sepsis (敗血症)」に因(ちな)んで、以下にこの病気の主な症状を示す。
S: Serious complication of an infection (感染症の深刻な合併症として発症)
E: Extreme shivering or muscle pain (激しい悪寒や筋肉痛)
P: Passing no urine (in a day) (尿が止まる)
S: Severe breathlessness (激しい息切れ)
I: It feels like you are going to die (死にそうな感じ)
S: Skin mottled or discoloured (肌にシミや変色箇所)
他に、顔色が青ざめる、気だるくて朝の起床が困難、発作・痙攣が起こるなどの症状も、この病気の特徴だ。
おわりに:敗血症の診断が難しいとは言え、医者は、突然、入院患者に告げる。『敗血症が進行し、壊疽(えそ)を発症した。足を切断せざるを得ない』。なんと無責任で無慈悲なことか。
(写真は添付のBBC-Newsから引用)