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「13日金曜日」:その凶の日は、単なる迷信か? (RTE-News, December 12, 2019)

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 誰でも迷信 (superstitions)は、単なる迷信だと分かっていても、その迷信に頼り、迷信に従って行動することが少なくない。
 広辞苑は、その迷信を次のように、ずばり切り捨てる。

『迷妄と考えられる信仰。また、道理にあわない言い伝えなどを頑固に信ずること。その判定の標準は常に相対的で、通常、現代の理性的判断から見て不合理と考えられるものについていう。』
 
冬至にカボチャを食べると、カゼを引かない
・ヘビの抜け殻を財布に入れておくと、お金が貯まる
・ヘビの夢を見ると、良いことがある
・枕を北向きに向けない
・漬け物の三切れは不吉
・祝い事、結婚は仏滅を避けて、大安吉日に

などは、まだ風習、慣習の類(たぐ)いとして許容される範囲に入る。しかし、その昔、氾濫を繰り返す川には魔物が住んでいると狂信し、橋を架ける際に、権力者は、なんのためらいもなく、非力な人間を「人身御供 (ひとみごくう)」すなわち「人柱(ひとばしら)」として、生き埋めにした。身の毛もよだつ「迷信」にまつわる歴史上の実話だ。

 さて、西洋でも迷信は事欠かない。人差指に中指を交差させて幸運を祈る「crossing her/his fingers (クロス・フィンガーズ)」は、スポーツの試合でよく見かける。また、悪魔払いとして、塩を左肩越しに後ろに投げる、あるいはフロント・ドアに「蹄鉄 (horseshoe)」を打ち付けるなどは、今でも生活に根ざした迷信だ。
 
 世の中には、その迷信を利用して、一儲け企(たくら)む輩(やから)や、迷信を助長するものもいる。ホラー映画「Friday the 13th(13日の金曜日)」は、凶日とされる「Friday the 13th」を、そのまま映画のタイトルにして、人々の恐怖を煽(あお)った。
 狂った怪人が次々と人殺しを重ねるシーン。それが、これでもかこれでもかと続く。
 
 そもそも、「13日の金曜日」がなぜ不吉かと言えば、イエス・キリストが十字架に掛けられた日が金曜日で、最後の晩餐のテーブルに並んだお皿が13人分だったことに由来すると言われている。また、北欧神話の神「Loki (ロキ)」が、12人の神々の臨席する晩餐会に現われて、13人目のはみ出しものとなったことに由来するという説もある。

 さらに、嘘のような話として、「13日の金曜日」のエピソードが伝わる。
 1976年の「Friday the 13th」のことだ。New Yorkに住むDaz Baxterは、この日、不吉なことが起こるのを恐れ、アパートの部屋から一歩も外に出ないで、ベッドの上で過ごしていた。すると、突然、天井のブロックが落下し、あえなく死んでしまったという。

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 一方、数字の 4, 7, 13, 17が吉か凶かは、国によって違う。たとえば、日本人が忌み嫌う「4」については、四つ葉のクローバが示すように、西洋では「lucky number」だ。
 このため、様々な人種が入り交じるオーストラリアのような「多文化国家 (multicultural countries)」では、あえて、ホテルや劇場で4階、13階を設けないようにしているとか。

 なお、雷除けのまじないは「クバラ、クワバラ」だが、「Friday the 13th」の凶に対するまじないもある。次のように唱えるそうだ。

・Paraskevidekatriaphobia
 (パラアースケヴィ ディカトリ アフォービア)

 その効き目だって? 神社のお守りみたいなものだろう。

付録:俗信・迷信に興味のある方には、次の本の一読を勧める。
・東浦義雄、舟戸英夫、成田成寿:英語世界の俗信・迷信、大修館書店、1974
・P.G.ボカトゥイリョーフ  (千野栄一、松田州二訳):呪術・儀礼・俗信、岩波書店,1988

                                           (写真は添付のRTE Newsから引用)

www.rte.ie