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海岸で隠遁?:そんな生物がプラスチックゴミで死に絶えている! (BBC-Science & Environment, December 5, 2019)

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 子どもの頃、海岸の岩場でヤドカニ (hermit crabs)を見つけては、よく遊んだ。危険が迫ると、さっと足を引っ込め、隙を見て、素早く逃げる。なんとも愛嬌のある小さな生き物だ。
 ヤドカニの英語名「hermit crabs」を直訳すれば、「(世を捨てた)隠遁カニ」。その、常に鎧(ゆろい)を着て歩いているようなヤドカニが、大量に死滅している。
 原因は、海洋・海岸のプラスチック汚染だ。

 ヤドカニは、生長するにつれて、狭くなった貝殻を脱ぎ捨て、体に合った新たな貝殻を見つける必要がある。これが、なかなか難しい。難しいが、必死になって、適当な大きさの貝殻を探すことになる。
 ところが、この習性が仇(あだ)になって、多くのヤドカニが命を落としている。

 その理由は、こうだ。
 海岸に打ち上げられたプラスチック容器の中に、ヤドカニが入るものなら、容器の口が上向いて、滑りやすい角度に傾斜していると、ヤドカニは出るに出られなくなり、結局、そこで死んでしまう。すると、死んだヤドカニの放つ臭気が、他のヤドカニにとっては、適切な貝殻のありかを知らせるシグナルとなる。これが、「lethal lures (死のおびき寄せ)」とは、知るよしもないヤドカニが、次々とプラスチックの容器の中に入り込んで、死んでいく。

 「The Natural History Museum (英国立歴史博物館)」上級学芸員Dr Alex Bondらの研究チームは、インド洋の「Cocos Islands (ココス諸島)」、南太平洋の「Henderson Island (ヘンダーソン島)」で調査したところ、この2ヶ所だけで推定570,000のヤドカニが、プラスチックゴミのワナ(traps)に、はまって死滅していることを突き止めた。

 「ヤドカニ (hermit crabs)」は、名前は「隠遁もの」だが、結構、忙しく動きまわり、海岸の土壌を肥沃な通気性の良い土壌に高めたり、植物の種子を遠くまで運ぶ役目を担っている。これを失うことは、自然の生態系 (ecosystem)の一角が崩れることを意味する。

おわりに:必死で生きている生物の命を、我が儘な生物が奪って、恥じることがないとは........。

謝辞:この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「The Guardian」の記事を参照した。記して謝意を表したい。

The Guardian: December 5, 2019
・Plastic pollution kills half a million hermit crabs on remote islands
                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com